1. 神戸大学深江キャンパスにある極低温実験棟と水素実験棟
本日お話しすること
本日は、先端的な水素の技術関係の研究における筆者の研究室の取り組みについて、これまでの経緯と現状と課題も含めてご紹介したい。
最初に、神戸大学および神戸大学深江キャンパスにある極低温実験棟と水素実験棟の紹介をしたい。2番目に、水素の製造についてお話したい。海流の運動エネルギーを電気に変え、その電気を水素に変えるという研究についての紹介である。3番目に、水素の貯蔵・輸送についてお話する。極低温技術を使用し、水素を液体の状態にして船で運ぶというプロジェクトに関する基礎的な技術研究の紹介である。最後の4番目に、昨年発足した「水素・未来エネルギー技術研究センター」の設立についてご紹介したい。本日、MHDというキーワードが良く出て来るが、これはmagnetohydrodynamicsの略語で、日本語では電磁流体力学と呼ばれている。筆者の研究室では、超伝導という現象を用いて強い磁場を作るが、電磁流体力学はそれを研究に使用・応用するための手法だ。
神戸大学の紹介
まず、神戸大学の紹介をしたい。神戸大学は1902年に設立され、現在10学部15研究科がある。学生数は大学院生を含めて1万6千人で、来年度、新しくシステム情報学部ができ学部数は11になる。
神戸大学にはキャンパスが4つある(図1左)。メインキャンパスが六甲台キャンパスで、他に深江キャンパス、楠キャンパス、名谷キャンパスがある。筆者は神戸商船大学出身で、深江キャンパスにいた。神戸商船大学の前身は私立川崎商船学校で、同学校は1917年に開校した。1952年に国立大学として神戸商船大学が設置され、2003年に神戸大学との統合により神戸大学海事科学部に引き継がれることになる。現在、神戸大学深江キャンパスには海洋政策科学部(旧 海事科学部)がある。
本日お話するのは、深江キャンパスでの教育研究活動の中の水素に関する内容となる。深江キャンパスの一つの特徴として、船を着岸する港がある(図1右)。また、ここには練習船である海神丸が停泊しており、教育研究に使われている。深江キャンパスの北側には国道43号線が走っている。その北方に六甲山がある。国道43号線の上を走る阪神高速道路が1995年の阪神・淡路大震災で倒壊した。
深江キャンパスにある極低温実験棟と水素実験棟
深江キャンパスの建物も阪神・淡路大震災で大きな被害を受け、建て直し等を余儀なくされた。筆者が管理するのは、図1右の青い星印がついた極低温実験棟と赤い星印がついた水素実験棟である。この2つをご紹介しながら、研究教育の話をしたい。
図2左が極低温実験棟の写真である。極低温実験棟は阪神・淡路大震災で倒壊した。現在の実験棟は震災の1年半後(1996年)に再建されたものだ。この中には、極低温の液体ヘリウム(LHe)を作る機械が設置されている。
その横には、液体窒素(LN2)のタンクがある。これらを使用して教育研究を進めるという体制を今も継続している。
図2右は水素実験棟で、2015年に完成した。水素実験棟の特徴は、屋根が非常に軽微なものでできていることだ。水素は危険物で、一定の条件下で爆発する。空気中に水素が占める割合があるパーセンテージを超えて火気があると爆発する。万一実験棟内で爆発した場合、被害を最小限に抑えるために、屋根が飛ぶような構造になっている。
元々水素実験棟は、原子力関係の実験棟として使われていたが、老朽化してあまり使用されていなかったため、リニューアルする形で4年の歳月をかけて2015年に完成した。
実際にこの水素実験棟の中で、極低温の液体水素(LH2)を使用した実験研究を行っている。液体水素を使用した実験研究ができるのは、日本国内の大学では唯一神戸大学だけで、非常に貴重な実験棟として知られている。
水素実験棟の屋根の上には、水素ガスの放出口がある。実験棟の中で実験に使用した液体水素の蒸発したガスを放出口から安全に実験棟外に放出している。
図2右の写真を見ると、水素実験棟の右側に小さな小屋が見える。この小屋には、ガスを排気する大きな真空ポンプの機械が設置されている。実験棟内では基本的に電気を使用できないので、電気を使用する大型の機械は実験棟外に置いて、配管を通じて実験棟内の実験装置を排気している。
温度スケール
図3左は、本日お話しする温度スケールについてまとめたものである。縦軸の1メモリごとに温度スケールが1桁ずつ上下する。温度スケールは絶対温度ケルビン(K)で表現している。世の中で最も低い温度を絶対零度とか0 K(ケルビン)と言っている。0 Kは-273.15℃である。
気体を冷やしていくと体積は減少する。温度が非常に低くなると、気体は凝縮して液体になる場合がある。水の融点は0℃で273 K、沸点は100℃で373 Kである。この温度域がわれわれが生活する領域だが、本日お話するのは、絶対零度に極めて近い温度域で極低温と呼ばれている領域である。
液体ヘリウムは、世の中で最も低い温度の液体であるが、液体ヘリウムは沸点が4 K、-269℃である。液体水素の沸点は20 Kで、-253℃である。液体水素は液体ヘリウムより沸点がやや高い。ちなみに液体窒素の沸点は77 Kで-196℃である。
液化天然ガスであるLNGは世の中に流通しており、沸点が111 Kである。液化天然ガスに置き換わる形で液体水素が世の中の燃料として流通していくと考えている。
筆者は学生時代に、液体ヘリウム3の超流動(2.6 mK)を実験していた。超伝導と超流動の2つは、量子力学的に非常に重要な現象として挙げられる。ちなみに、超伝導は電気抵抗がゼロになる現象・状態をいい、超流動はヘリウムの粘性がゼロになる現象・状態である。
この2つは物理的に非常に面白い現象・状態で、液体ヘリウム3の超流動の研究により、ダグラス・D・オシェロフ氏らが1996年に、またアンソニー・レゲット氏らが2003年にノーベル物理学賞を受賞している。筆者もこれらをテーマとした実験をしていたが、大学院の博士課程2年時に中退して、液体ヘリウム4の超流動(2 K)の領域に戻って来た。極低温とは反対の超高温において核融合発電の実現には108 K、つまり1億度以上という非常に高い温度が必要である。
実は、核融合の実験装置の中には液体ヘリウムが流れていて、超伝導磁石を使って非常に強い磁場でプラズマを閉じ込めるという手法を取っている。フランスではこの手法を用いて、超高温と極低温が隣り合わせにあるような実験装置を建設中だ。
磁場の単位
本日お話する超伝導磁石の磁場は非常に強いが、磁場の強さはテスラ(T)という単位で表す(図3右)。1 T(テスラ)= 104 G(ガウス)である。よく知られた永久磁石や肩が凝った時に貼るピップエレキバンなどは、磁場が大体0.1 T(テスラ)だ。
地球にも磁場があり、地磁気と呼ばれているが、地球内部のマントルは導電性を持っているので、地球内部のマントルが動くことによって地球磁場が発生する。地球磁場は0.5 G(ガウス)あると言われている。テスラでは、5×10-5 Tである。
ちなみに人体からも磁場が出ている。人体には血液が流れており、血液は導電性の流体なので、その周りには磁場ができる。生体磁場と呼ばれている。10-10 Tである。超伝導の特性を使って、生体磁場のような微小な磁場を高い精度で計測できる。
本日は、超伝導磁石についての話だが、超伝導磁石は、超伝導でできている細い線をぐるぐる巻きのコイル状にして作る。超伝導磁石は大電流を流すことができ、非常に強い電磁石になる。通常の鉄心電磁石が2 Tだが、超伝導磁石を使用すれば、30 T以上の強い磁場を作ることができる。超伝導磁石を使用して様々な実験を行うことができる。
ちなみに宇宙の彼方には中性子星があるが、天文観測によれば、中性子星では109 Tというとてつもない磁場が発生している。
2. 水素の製造:海流MHD発電・水素発生に関する研究
超伝導電磁推進船
まず、図4にある超伝導電磁推進船についてお話しする必要がある。超伝導電磁推進船は、超伝導で動く船である。基本的にスクリューがない。電気と磁場を使って動く。筆者の神戸商船大学の上司にあたる佐治吉郎教授(当時)が超伝導電磁推進船ST-500を1980年に完成させた(図4上)。世界初の超伝導で動く船である。神戸大学海事博物館(深江キャンパス内)に展示されている。ST-500は全長3.5mで、推進力は1.5 kg重だ。船内に超伝導の磁石が入っている。この超伝導磁石は液体ヘリウムで冷却される。原理については後ほどお話しする。その状態で推進力を受けて進む。スピードは0.6 m/sほどで、人がゆっくり歩くほどのスピードだ。世界で初めて超伝導電磁推進船のデータを取れるようになった。
ST-500のデータを踏まえて、次に人が10人ほど乗船できるYAMATO-1という超電導電磁推進船が製造され研究が行われた。(図4下)。図の写真は、神戸での実験風景である。YAMATO-1は全長約30 mで、推進力が約800 kg重×2で、船速が4 m/sで自転車の速度ほどだ。実際に人を乗せて船を動かすことができる。
ヘリカル型推進機とヘリカル型海流MHD発電
いずれの超伝導電磁推進船も推進力が弱く船速に限界があったが、市場では船舶による大量輸送、高速化、高効率化が求められた。従来は、テクノスーパーライナー(ガスタービン)、電気モーター推進船、リニア型MHD推進船などの研究が主流だった。そこで筆者らは、新型船舶の開発のために、2000年頃からヘリカル型推進機の研究を行った。ヘリカル型推進機は、フレミング左手則を応用して超伝導磁石の強磁場を有効に用いて船を推進するもので、それにより推進機の大型化、強磁場化、高速化が可能となった。
同研究は、筑波にある国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)と中国科学院傘下の電工研究所の共同研究という形で実施した。
同研究の原理を簡単に紹介したい(図5左)。ヘリカル型推進機の真ん中と外側に電極がある。中心から放射状に電流を海水へ通して流す。その状態で、横方向に超伝導の強い磁場をかけると、電流と磁場の垂直な方向、つまり回転する方向に海水が動く。ヘリカル状のガイドを使用して海水の回転運動を並進運動に転換することにより、推進力を得られることを実験で実証した。
図5右の横軸は、面積当たりの流した電流、つまり電流密度(A/m2)だ。縦軸は、単位体積あたりの推進力、つまり推進力体積密度(N/m3)である。図5右のグラフの一番下にあるのがYAMATO-1の値である。それに対して、14 Tという強い磁場をかけると、YAMATO-1の約10倍の推進力が得られることがわかった。
従来は、プロペラ方式、リニア型MHD方式の海流・潮流発電、海水温度差発電、海水濃度差発電などの研究が行われた。筆者らも、海流・潮流発電については、海洋再生可能エネルギーの有効利用ということで注目していた。ヘリカル型MHD発電は、先述した原理を逆に利用することで発電できる。フレミング右手則を応用して海流エネルギーを直接電気エネルギーに変換できる。副産物として水素ガスが発生する。また大型化、強磁場化、効率化が可能となる。
ヘリカル型と呼ばれる発電機による発電の研究は筆者らが初めて行ったものである。ヘリカル型海流MHD発電機を試作し、発電特性について実験で詳しく調べてみた。
図6左は、図5左と同様、ヘリカル型海流MHD発電の原理について描いた図になる。真ん中に電極の陽極があり、外側に陰極がある。仕切り板と陽極の間に海水が入っている状態で、図の向こう側に超伝導の強い磁場をかけ、海水が回転しながら運動すると、磁場を横切りながら導電性の液体が動き出すため、電磁誘導の法則に従って誘導起電力が発生する。これが電気分解電圧を超えると電流が流れる。以上の原理はフレミング右手則で説明でき、この原理により強い磁場の中を海水が回転しながら動くことで発電できる。実際にこの原理で発電できるのかを実証するため実験を行った。
そのときに使用した実験装置が、図6右にある7 T強磁場クライオスタット(低温維持装置)である。装置の真ん中には、直径12 cmほどの大きな空洞がある。空洞の外側には超伝導磁石が入った空間がある。超伝導磁石の空間に4 Kという極低温の液体ヘリウムが入っていて、超伝導磁石が安定して作動することを担保している。
超伝導磁石は超伝導でできた細い線がコイル状に巻かれている。そのコイルに100アンペアほどの大電流を流して、電流が永久的に流れる状態にすることができ、磁場の非常に強い永久磁石ができる。最大で7万G(ガウス)=7 T(テスラ)の磁場ができる。
図7は、ヘリカル型海流MHD発電実験装置の概略図である。まず、図7左下に海水のタンクを用意する。タンクに入れる海水は人工海水で1 m3ほどだ。その下に海水を動かす循環ポンプを用意して海水を流していく。
海水は、整流器、流量計、流量制御弁を通過する。図7右に先述したヘリカル型海流MHD発電機が設置してあり、海水はその真ん中の空洞の中をくるくる回りながら通過する。
ヘリカル型海流MHD発電機を作動した状態で、発生する起電力、圧力差、流量を同時に計測する。図8は、深江キャンパスにある極低温実験棟の実験室の写真である。図8右に写るのが実験に使用した7 T強磁場クライオスタット(低温維持装置)である。中に超電導磁石が内蔵されている。
写真では隠れて見えないが、ヘリウム液化機が図8真ん中の奥にある。実験日の前日に、液体ヘリウムを大体100 Lから200 Lを作り実験装置に移送して実験する。液体ヘリウムは7 T強磁場クライオスタットの液体ヘリウム槽に流し込む。ヘリカル型海流MHD発電機をセットしクローズドサイクルになった配管の中に人工海水を流す。配管の途中には整流器、流量計、流量制御弁がある。海水の回転運動によって発電するという実験である。
図9は、ヘリカル型海流MHD発電機の実験結果である。図9左のグラフの横軸が海水の流れる流速である。単位はm/sである。縦軸には発生した起電力をプロットしている。磁場が7 T(テスラ)のときのデータになる。上の方が磁場が上向きで、下の方が磁場が下向きである。つまり発生する電圧は、プラスとマイナス両方発生させることができる。
プラスとマイナスのいずれの電圧も、実験で得られた数値は、計算的な値に非常に近い値が計測できた。ヘリカル型海流MHD発電機の試作機によって、原理通りに発電できることが実証された。筆者らは直径が約10 cmで長さが約30 cmの小さい発電機を大型化した場合どうなるかを計算した(図9右)。図9右のグラフの縦軸が発電量(kW)、横軸が電極の半径(m)である。電極の半径を2 mにすれば150 kW、5 mにすれば1350 kWの発電ができると予測される。
3. 水素の貯蔵・輸送:液体水素海上輸送基盤技術に関する研究
なぜ水素に注目したか
続いて、水素の貯蔵・輸送:液体水素の海上輸送基盤技術についてご紹介したい。筆者らの専門が低温工学、応用物理学であり、以前から液体水素に注目していた。液体水素の問題点は、非常に温度が低いことと取り扱いにくいことだ。ビッグバン直後に生成された元素は主に水素とヘリウムで、宇宙全体の物質の90%以上が水素とされている。地球上では海水の中に水素が含まれているので、エネルギー源としての水素は、ほぼ無尽蔵にあるという状況だ。
一方、物理学的に考えて、水素をずっと押し固めていくと固体になる。さらに固体を押し固めていくと金属になる。さらに金属を押し固めていくと超伝導になると言われている。超伝導では、電気抵抗ゼロの状態になる。水素を含む化合物が室温で超伝導になるという報告もある。以上のような性質から、水素は物理学的にも非常に注目されている。
一方、液体水素の温度をずっと下げて、固体になる温度よりもさらに低くできれば、超流動になると言われている。金属水素の超伝導や液体水素の過冷却という状態の超流動はまだ見つかっていないので、それが発見できればノーベル賞が受賞できるかもしれない。
一方、液体水素が蒸発した気体水素は、可燃性危険物として知られている。空気中に水素ガスが4%から75%の範囲で含まれた条件下で、火気があると爆発する。しかも最小発火エネルギーが非常に小さいので、取り扱いに十分注意しなければいけない。
また、水素脆性と呼ばれている特性がある。高温高圧の状態で金属容器の中に水素が入っていると、水素が金属の中に浸透していき、金属の特性を劣化させる現象を水素脆性と呼ぶ。ある種の金属では、水素脆性の危険性があると言われている。
さらに、水素の分子は非常に小さいため、小さな隙間をスルスル通り抜けて行ってしまう。透過性が高いことにも注意が必要である。
加えて、液体と気体の体積比が1:788なので、液体1の大きさが気体になると約800になるので、小さな空間に閉じ込めておくと爆発するため、取り扱いには十分注意しなければならない(図10)。
液体水素の特徴と取扱い上の注意点
液体水素の特徴と取扱いの上の注意点をまとめてみた。①大気圧下での液体水素の沸点は非常に低く20 Kほどだ。液化天然ガスが111 Kで、液体水素は沸点が90 Kほど低いので取り扱いに注意が必要だ。
②液体水素の密度は、71 kg/m3で、水が1000 kg/m3に対して非常に小さい。液化天然ガスの1/6である。③潜熱は、液体が気体になるときに使う熱エネルギーだが、液体水素は3.2×104 kJ/m3で、液化天然ガスの1/7と非常に小さい。④粘性は、液体水素は133×10−7 kg/m・sで小さく、液化天然ガスの1/7である。⑤表面張力は、液体水素は1.9×10−3 J/m2で小さく、液化天然ガスの1/7である。液体水素の表面張力も小さいので、泡が小さい。
⑥蒸発した水素ガスは可燃性ガスなので注意が必要である。⑦使用する材料の機械的性質(強度、靭性など)に十分注意する必要がある。⑧液体水素を流す容器、配管、機器などの表面には空気が液体になるほど冷える。空気が液化すると、酸素も窒素と一緒に液化してしまう。酸素は支燃性ガスなので、火気があると爆発してしまう。液体空気が生成しないように防熱対策をする必要がある。
水素ガスの特徴と取扱い上の注意点についてもまとめてみた。①水素ガスは燃焼・爆発・爆轟の危険性がある。②室温・大気圧下での空気中における水素の爆発範囲は4.0〜75 vol%と広い。③水素ガスは無色透明なので、漏れていても分からない。④室温で水素ガスは空気より軽いので、水素ガスが漏れた場合には、すぐに上昇していく。⑤水素ガスは漏れやすい。⑥水素ガスに毒性はないが、充満すると酸素濃度が下がるため窒息してしまう危険性がある。⑦空気中での点火エネルギーは非常に小さい。⑧水素の焔は無色である。
深江キャンパスの水素実験棟
図11左は、液体水素実験装置の写真である。深江キャンパスの水素実験棟内にある。日本で液体水素を販売する企業は、岩谷産業株式会社(以後、岩谷産業)だけである。岩谷産業に液体水素が入った大きな容器を納品してもらい、実験装置に液体水素を移送する。実験装置に液体水素を移送する時やそれ以外の時に、液体水素が蒸発した場合、水素ガスが安全に実験棟の屋上から放出する形をとっている(図11右)。
液体水素が無くなれば容器は返却する。現在400 Lではなく、2000 Lの大きな容器を借りて実験を行っている。図12左が、水素実験棟の配置図である。実験棟は実験室と測定室の二つの領域に分かれている。実験室と測定室は高圧ガス保安法に従い、強化ガラスと2つの扉で隔てられている。実験室は11 m×5.5 m×高さ7 mほどの大きさになる。水素ガスを放出する際、屋上から放出するラインが赤色の線で示されている。また、実験室の外に設置されたポンプに繋いで、水素ガスを外に排出するラインが青色の線で示されている。4ヶ所ポートがあり、4ヶ所に実験装置を設置して実験できる形になっている。
実験するときは常に水素ガスの濃度をモニターする。水素ガスの濃度が200 ppmを超えると警報が鳴る。4%の4万ppmを超えると爆発範囲に入るので、それよりも遥かに低い200 ppmに到達すれば警報が鳴るしくみだ。警報が鳴れば実験を中断する。中断して水素ガスが漏れている箇所を探す。実験中は設置された換気窓を使用して喚気する。
図12右は実験室が完成した当時の写真だ。中央に見える太い配管が真空用の配管だ。細い配管が水素ガスを放出する配管である。2階にはゼミの部屋や作業する部屋がある。
図12右の奥に測定室が見える。実験室と測定室は強化ガラスと二重扉で仕切られている。実験室で仮に爆発が起きても測定室には影響が及ばない設計になっている。筆者らは測定室で計測を行う。
図11右は、水素実験棟の屋根を撮った写真である。屋根の中央に換気口があり、水素ガスが漏れると、換気口から外に排出される。実験で使用した液体水素が蒸発したガスは、屋根の左端に見える排出口から排出する。高圧ガス保安法にて、屋根から1.5mないし2m上から排出するという規定に従っている。
排出口の一番上に円柱状の物体が付いているが、これはベントスタックと呼ばれ、金属のメッシュが中にたくさん入っている。仮に、排出している水素ガスに落雷して発火しても、建物内部に着火しないようにするためのもので、法律上必ず付けなければならない。
図13左はCO2フリー水素の世界資源についての図になる。オーストラリアの褐炭と呼ばれる廉価の石炭から大量の水素ガスを作り、液化して船で日本に運搬するプロジェクトがある。このプロジェクトが今注目されている。発生するCO2は固めて海中あるいは地中に埋めてCO2フリー水素という形をとっている。それ以外にも、南米の風力発電で大量に作った水素を液化して、またカナダの水力発電で得られた電気で水素を作り液化して運んでいく予定である。サハラ砂漠では、太陽光発電でできた電気で水素を作って運ぶというプロジェクトも行おうとしている。ノルウェーでは水力発電で作った電気で水素を作り液化して船で運ぶ計画がある。以上のCO2フリー水素の世界資源を様々な国が取り合う状況になっている。
日本には、NEDOのプロジェクトとして川崎重工が建造した「すいそ ふろんてぃあ」という液体水素運搬船がある(図13右)。この船は2019年12月に進水して、2020年10月に海上運転を開始した。全長は116 mで、総トン数が約8,000トンである。液体水素を入れる貨物槽の容積は1250 m3である。
貨物タンクの設置に関しては、以下のことに注意する必要がある。①貨物タンクへの侵入熱の抑制、②貨物配管の高い断熱性能、③貨物機器の極低温対策および水素漏洩対策。
新たに開発し特許を取得した超伝導液面センサー
筆者の研究室で開発して特許を取った新しい液面センサーの研究をご紹介したい。この液面センサーは、超伝導で働く。市販されるMgB2(ニホウ化マグネシウム)が39ケルビン(K)で超伝導を示すことを2001年に青山学院大学の秋光純氏(現在、青山学院大学名誉教授)らのグループが発見した。その後、MgB2液面センサーを液体水素用に使えることがわかった。筆者らの研究室で作るものとは型式は異なるが、ドイツでも同様の発想でMgB2センサーを作っている。
この超伝導液面センサーの原理は簡単である。まずMgB2(ニホウ化マグネシウム)は、金属のチューブに入れないと線材にならないので、白銅と呼ばれる銅ニッケルに入れて細い線にする。
MgB2は、液体水素の中では超伝導になる。一方、気体水素では超伝導にならず常伝導になる。このような状態を作り出し、全体の電気抵抗を正確に測れば、常伝導部分の電気抵抗だけ残るので、液面がどこにあるかがわかる。
特に、チューブの外側にヒーターを巻いて加熱する必要がある。加熱することで非常に高精度の液面センサーができる(図14左)。図14右は、LH2用超伝導MgB2液面センサーの写真である。直径0.3ミリほどの細い金属の線である。線の横にスケールがある。図14右の写真は、観測窓から実験装置の中を見た写真である。LH2液面が上の方にあるのを確認してほしい。この状態でこのセンサーに少しだけ電流を流す。そして電圧を測ることによって、全体の電気抵抗を測る。その値をプロットしてできたグラフが図15左のグラフだ。
結果として、図15左のグラフのような非常に高い直線性が得られた。図15左のグラフの横軸は、液面の高さで単位はmmだ。0 mm 〜 500 mmになる。縦軸は電圧で単位はmVだ。0 mV 〜 30 mVになる。電圧は電気抵抗に相当する。液面が0 mmの時は超伝導にならないので、電圧は30 mVになる。液面の高さが500 mmになれば、すべて超伝導になるので、電圧は0 mVになる。圧力を変化させてもこの直線はほとんど変わらない。図15左のグラフの青線と赤線が重なっているように、船上でも実験室でも同じ値が得られた。
また、MgB2液面センサーを使い、液面を揺らして出力がどのように変化するかを見てみたが、非常に追従性の良いデータが取れた(図15右)。時間的には0.1秒ほどの範囲で追従していた。液面の高さで5 mmほどの範囲内で正確に測れており、動的な検知特性も非常に高いことがわかった。
また、MgB2液面センサーに液体水素を入れ、圧力を4気圧ほどかけ、圧力を急激に下げた時にどんなことが起きるかを実験した。成層状態では飽和温度を下回る液中下部は沸騰が発生しないと考えられる。液体水素の温度がほとんど同じ状態の飽和状態と、液体水素の中に温度の分布が層状に形成され下の方が冷えている状態の成層状態の両者で、沸騰の状態がどの程度違うかを高速度カメラで撮影して比較した。結果として、成層状態は下の方ほど冷えているので、沸騰があまり激しくなく、飽和状態の方は沸騰が激しいことがわかった。成層状態は下の方が冷えていることで沸騰が抑えられていることがわかった。
実際に、液体水素を船で輸送して港に着いた時は圧力が高い状態だ。荷揚げする時には圧力を下げてから行わなければならない。その過程では、今述べた現象が実際に起きていることがわかった。
神戸大学には、深江丸(現在、海神丸)という練習船がある。深江丸に実験装置を載せて、海上に出て、液体水素の温度と圧力と液面の変化はどうなるかを実験を行い調査した。深江キャンパスから関西空港の近くまで航行して、大阪湾をジグザグ走行して液体水素の様子を観測した。
図17左はその時の観測データだ。黒い線はローリングと呼ばれる横揺れの角度を表す。最大でプラスマイナス5度ほどだ。それに対して中の液面が、同じ位相で輸送する部分と逆の位相で輸送する部分があり、液体水素タンクの左右にある液面センサーが、液体水素が動くと、その液面センサーがきちんと感知して働いていることがわかった。
将来は、液体水素を燃料として動く船である液体水素燃料船ができると考えている。カーボンニュートラル社会を目指す動きが背景にあるためだ(図17右)。2018年4月に国際海事機関(IMO)が「GHG削減戦略」を提唱した。その後、IMOは2023年に同戦略を改定して海運全体のGHG排出量を2050年までにゼロにすることを宣言した。欧州は2019年12月にグリーンディール政策を発表し、2050年までのGHGゼロエミッションを宣言した。日本も2020年に菅元首相が2050年までにGHGゼロエミッションすることを宣言した。
こういった状況の中で海運におけるゼロエミッション技術としては、バイオ燃料を使うものや、蓄電池を使って電気推進するものが考えられる。また水素を使って燃料電池で動くか、水素エンジンで内燃機関として動くか、あるいはアンモニアを水素に変えて燃料電池で動くか、アンモニアを使って内燃機関を動かすかという選択肢がある。
その中で長距離運行船や大型船の燃料は、液体水素かアンモニアのどちらかだ。筆者らは液体水素に注目して研究を進めている。すでに米国サンディア国立研究所が液体水素燃料船として湾岸研究船「Zero-V」を製造した(図18左)。本船は実際に航行実験をしている。本船は長さ51 m、幅17 m、LH2タンク(156 m3)、定格出力1.8 MW、最高速度10ノットで、15日間の航行が可能である。
日本でも、日本郵船が液体水素燃料船として環境コンセプト船「スーパーエコシップ2050」を建造しようと研究を進めている(図18右)。本船は固体酸化物形燃料電池(SOFC)、長さ200 m、LH2タンク(1900 m3)、14日間のゼロエミッション運航が可能である。
液体水素燃料のバンカリングについての研究
筆者の研究室では、液体水素燃料のバンカリング(燃料補給、燃料の積み込み)の作業、すなわち陸上タンクから海上タンクに液体水素を移送することやその逆を行う作業中の様々な技術あるいは現象についての研究を行っている(図19左)。これまで液面計の研究をしており、今後も継続する。海上の船は潮の満ち引きによって上下運動をしている。それに追従するように船上のLH2燃料タンクに繋がる配管は可動配管である必要がある。船側と陸側のタンクを繋ぐ可動配管と駆動装置、緊急離脱機構等で構成されるシステムをローディングアームシステム(LAS)と呼んでおり、筆者らはその研究も行っている。LASは高い断熱性・柔軟性・可動性が必要である。図19左にある流量計の研究も行っているが、それについては後述する。
筆者らの研究室では、LASの中の緊急離脱機構の研究も行っている。緊急離脱機構(ERS)とは、津波が来るなどの緊急時に、ローディングアームを輸送船のタンクから瞬時に切り離すシステムである(図19右)。ローディングアームを輸送船のタンクから切り離す部分を拡大したのが図19右端である。緊急時にこの部分が開き、船側と陸側の配管の先端に蓋をして、開かれた配管中に溜まった液体水素は外に放出される。緊急離脱機構の内部の圧力と流速のシミュレーションの研究を行っており、シミュレーション結果と現場での実験データを比較して、このシミュレーションの正当性を確認している。この研究結果は海外で開催される国際会議でも発表している。
流量計の研究
筆者らは流量計の研究も行っている。筆者らが研究している流量計をヘリカル型液体水素流量計と呼んでいる。ヘリカル型推進機の研究にヒントを得て、ヘリカル型流量計を開発した。
これまで、液体水素の流量計としては、オリフィス式やタービン式流量計という古典的なものしかなく、高精度かつ安全性・信頼性の高い流量計は開発されなかった。そこで、筆者らの研究室で新たな流量計を製作することにした。
図20左は、ヘリカル型LH2用流量計の原理図である。流量計の真ん中に筒状のGFRP管があり、その外側にヘリカル流路がある。液体水素はヘリカル流路をくるくる回りながら流れる構造になっている。液体水素が流れるときに回転運動すれば、遠心力が発生するので、外側の配管が力を受ける。力を受けると変形する。その変形量をあらかじめ貼り付けておいたひずみゲージで検知する。検知したデータから流量を逆算して求める。実際にシミュレーションの通りになるか、ヘリカル型流量計を作り実験した。
小型ヘリカル流路は、外半径が11.6 mm、内半径が3.6 mmで、ちょうど1インチのパイプに相当する。1インチのパイプの中にヘリカル状の流路を想定してシミュレーションした。
例えば小型ヘリカル流路に1分間あたり100 Lほどの液体水素を流して、GFRPと呼ばれる高分子系の材料に与える圧力やひずみが計算できる。ひずみの値から逆に流量を計算したシミュレーションの結果が、図20右のグラフである。
図20右のグラフのオレンジ色の線は、ベルヌーイの定理から簡単な計算式で算出した値で、青色の線は、シミュレーションで厳密に計算した値である。数値シミュレーションの結果は、液体窒素の場合と液体水素の場合のいずれも、過去の単純計算結果の1/4程度に減少した。ヘリカル状の板と外側の筒が固定された部分の影響で、その分ひずみが小さくシミュレーションされているだめだ。
シミュレーション結果を実証するために、実際にヘリカル流路を3Dプリンターで作り実験した。ヘリカル流路の強度と気密性を確保するため、(a)FDM方式における造形物、(b)SLA方式における造形物、(c)市販のGFRP管とFDM方式における造形物を組み合わせたものをそれぞれ3Dプリンターで試作した。
実際に有効だったのは(c)である。GFRP管にヘリカル型造形物を入れて接着することで、漏れない流量計ができた。実際には、流量計の両側を真鍮のキャップで固定し特別な接着剤を使用した。ヘリカル流路にひずみゲージを円周方向と長手方向に2枚貼り付け、圧力(応力)とひずみを測定した。円周方向と長手方向にひずみ計を2枚貼り付けるのは、ポアソン比を考慮するためである。外側にヒーターと温度計を付けて低い温度で調節できるようにした。
図21左は、実験装置の中を図にしたものだ。GRRP管の中に2枚のひずみ計を付けており、両端は真鍮のキャップで蓋をした。液体窒素(LN2)とヘリウムガス(GHe)を用いて実験した。
図21右が実験データの一例だが、横軸が時間で、縦軸が外から加えた圧力だ。外から圧力をかけて、ひずみがどう変わるかを見ている。ひずみは、円周方向と軸方向のひずみの差を取っている。圧力をかければ、ひずみは、それに比例し増えていく。温度はほぼ一定の状態でデータを取る。圧力とひずみの変化をグラフにしたものが図22左になる。
図22左のグラフは、横軸が加えた圧力、縦軸が発生したひずみを表す。この直線の傾きの逆数がヤング率である。温度を変えればヤング率が変化することは、直線性の良いデータとして得ている。図22右のように、横軸を絶対温度、縦軸をヤング率という形でグラフを書けば、液体窒素の実験では、ヤング率は若干増えていく傾向が見られる。液体水素20 K(ケルビン)では、29.84 GPa(ギガパスカル)ほどのヤング率になると予想できるので、液体水素が実際に流れれば、どの程度のひずみで流量が検知できるかがシミュレーションできる。
4. 水素・未来エネルギー技術研究センターの設置
最後に、2023年11月に設置された水素・未来エネルギー技術研究センター(図23)について述べたい。本日、極低温技術についてご紹介した。極低温技術は、液体ヘリウムを使用した実験の過程で出てきたものだ。1969年にカスケード式ヘリウム液化機を自作したところから始まった。1976年に極低温実験棟が完成し、そこから超伝導電磁推進船の研究等が始まった。
2015年に液体水素専用実験棟(水素実験棟)が完成し、国内の大学では唯一の実験施設として高く評価された。2017年に深江丸という練習船を使ったLH2海上輸送実験を行い、液体水素の海上輸送に関する初めてのデータを取得した。
水素・未来エネルギー技術研究センターでは、エネルギー技術研究に3つの流れがある。上述した極低温技術に始まる水素エネルギー技術、海洋気象学に始まる再生可能エネルギー技術、電気工学・熱工学等のマルチエネルギー技術だ。
再生可能エネルギー技術に関しては、神戸大学海事科学研究科 海洋・気象学研究室の大澤輝夫教授の研究室が担当する。大澤教授の研究室は、洋上風力発電に着目して、洋上風力の風況予測を行うところから研究が始まった。同研究室は、衛星搭載マイクロ波散乱計による風況解析、ブイによる風況観測精度等の手法開発、水平ライダーを用いた風況観測を行っている。最近では、日本全国の洋上風況マップを作成し、季節・場所ごとにどのような風が吹くかを予想するツールを立ち上げている。現在、青森県六ケ所村の近くに風況観測試験サイトを立ち上げている。
電気工学・熱工学等のマルチエネルギー技術は、電気工学・熱工学、特にパワーエレクトロニクスを対象とした研究で、三島智和准教授が担当している。
以上3つの研究をベースに電気・熱・振動も含めて水素を主要なエネルギーキャリアーと考え、未来のエネルギーの最適化を図る取り組みを行いつつ、三つの基盤的な技術を統合した水素・未来エネルギー技術研究センターを2023年11月に設立した。
水素・未来エネルギー技術研究センターでは現在、神戸大学の理系グループが研究を進めている。具体的には、海洋再生可能エネルギーと水素エネルギーについては筆者が担当し、海洋再生可能エネルギーに基づいて海洋エネルギーステーションを作り、そこでの発電で水素を作る基盤技術の基礎研究等を大澤教授が担当する。
本センター設立の前年2022年3月から水素技術勉強会(現在、水素・未来エネルギー技術勉強会)を本格的にスタートした。これは産官学の水素技術に関する勉強会という形で進めており、現在80ほどの組織が参加する。
将来的には、産官学のコンソーシアムを構築して水素未来技術を社会に展開して行きたいと考えている。水素技術勉強会の活動も評価され、本センターを設立できた。
筆者が非常に重要視しているのは、深江キャンパスで行う液体水素を対象としたオープンラボラトリーだ。大きな24 m3の液体水素貯槽を深江キャンパスに設置し、学内における水素実験棟内での実験、海神丸での海上輸送実験以外にも、広く門戸を開放し、学外の組織にも液体水素を使用した様々な実験を可能にし、共同で実験できる施設を計画している。産官学の連携がより強まると考えている。
24 m3の貯槽内の液体水素は自然に蒸発するが、蒸発ガスを利用すれば、深江キャンパスの電力として供給できる。深江キャンパスのモデルが世界初のカーボンニュートラル・キャンパスモデルになると見ている。将来的には、オープンラボラトリー国際規格化推進部門を設置して、オープンラボラトリーの管理運営を行いながら、産官学連携を拡大し、自治体産業界とも連携しつつ、国際共同研究を行いたいと考えている。
さらに、社会システム評価技術研究部門を新たに立ち上げながら、文系の学者・専門家にも参加していただき、水素を主要な未来エネルギーとして社会システムに組み込み、どのように標準化していくかに関する研究もしていきたい。近い将来、水素エネルギー社会の実現に貢献することを念頭に、イノベーションの創出、国際規格化の推進、産官学の連携コンソーシアムの構築を通じて、多くの企業や大学と連携しつつ、プロジェクトを拡大展開している状況にある。
(本稿は、2024年10月8日に開催したICUS懇談会における発題を整理してまとめたものである。なお、図に出典の記載がないものは、講師の武田教授自身または武田研究室が作成したものである。)