家庭訪問型子育て支援体制を強化する

 現代の子育て家庭は孤立しがちで、虐待などの危機に陥りやすい。児童虐待は早期の対処が肝要であり、妊娠期からのサポートが効果的である。そのため、出産前後から小学校低学年頃までの子育て家庭の支援に社会的資源を投入することが必要である。特に、ひとり親家庭や低所得家庭、多子・多胎家庭、若年の親や外国人の子育て家庭など、要支援度が高い家庭ほど、支援の場に来ない(来ることができない)ため、訪問型の支援が必要となる。

家庭訪問型子育て支援の中で、最も多く行われている養育支援訪問事業は、半数近い自治体が取り組んでおり、評価も非常に高い。しかし、実際の一家庭平均訪問回数は3回程度と少なく、支援者の質を担保する研修や支援の過程管理が不十分である。また、虐待の発生予防の領域における支援がきわめて薄く、ボランティアの活用も積極的でない。機関や制度間の連携ができていないことなども課題である。

このような課題の解決策として、次の5点が考えられる。①訪問支援体制(人的・組織的体制)及び予算を充実させて訪問頻度を増加させる。②訪問支援者・方法の多様化によりホームスタートなど発生予防療育を充実させる。③訪問支援研修の充実や訪問マネジメントの確立によって訪問支援の「質」を向上させる。④効果測定ツールを開発する。⑤訪問型支援を包括的にマネジメントする機関を設置する。これらに取り組むことで、訪問型支援の充実を図ることが重要である。