国家目標と基本戦略—新たなグローバル文明を主導する日本

目標4.未来にむけた人づくりと家族機能の充実

①包括的家族政策による家族支援の充実

近年、家族機能低下により家族病理が深刻化しており、産まれてきた子供たちの成育環境は急速に悪化している。児童虐待や子供の貧困が急増するなど、社会や国の未来を担う次世代の育成が大きな危機に瀕している。子供の問題の背景には家族の問題がある。家族の問題は世代間で連鎖することが少なくない。

家族と子供の福祉に関わる政策の変遷を見ると、80年代までは家庭の意義と役割を重視する傾向が強かった。80年代には配偶者特別控除や国民年金の第三号被保険者制度が作られ、家庭の福祉機能(ただし主に女性が負った)を支援するような制度体系であった。しかし、90年代に入ると変化が起こる。少子化対策に舵がきられ、女性の就労と家庭生活・育児の「両立支援」に主軸を置いた政策立案が行われるようになった。西岡(2021) によれば、「両立支援」は「脱家族化」(家族と福祉の分離)を志向する「女性政策」の観点から立案された。そのため、従来の少子化対策では、家族のライフサイクルを十分に考慮に入れておらず、少子化の主な原因である「未婚化」「晩婚化」への対応はできていない(松田2021)。また、子供の成育環境への影響も十分検討されておらず、規制緩和による保育の拡大は子供の健全育成との齟齬を生んでいる。

「未婚化」「晩婚化」は男女双方に関わり、大人の働き方は家庭生活を介して子供の成育と関わる。したがって、少子化の緩和・克服と子供の成育環境改善は不可分であり、それらの実現のためには、個人だけでなく夫婦関係・親子関係を含めた家族全体を視野に入れて支援する「包括的家族政策」が必要である。

家族政策とは、「家族機能を維持していくために、家族や家庭内の問題を未然に防ぐこと、あるいは解決することを目的として、家計や生活面に対して、社会的に家族を支援する政策」である。家族機能とは、「家族により構成される世帯の生活維持や、家庭内における育児、教育、介護等に関する機能」である(増田 2022a、2022b)。

ただし、単身世帯やひとり親家庭の増加等により、かつて標準家族のモデルとされた両親と未婚の子供からなる世帯は全体の25%程度となっている(内閣府 2022a)。様々な状況にある「家族」が、各々の状況においてウェルビーイング(心身が健康で社会的にも満たされた状態)を高めることができるようにすることが重要になる。

家族政策の範囲は、①家族ケアを支援する分野(出産、子育て支援、家庭療養、介護支援など)、②家計の経済的支援に関する分野(児童手当、児童扶養手当、家族税制など)、③家庭と仕事の両立支援に関する分野(家庭保育、保育所、育児休業など)、④家族構成・構造や意識改革・啓発等に関する分野(結婚支援、家族法制、啓発活動など)に分けることができる。

具体的な例を挙げれば、家族ケア支援には、妊婦健診の無料化や2022年から実施されている不妊治療の医療保険適用などの他、ヤングケアラーへの対応や介護離職ゼロ政策なども位置付けられる。

家計の経済的支援には、年少扶養控除の復活など家族税制に関するものも含まれる。子育て世帯に対する経済的支援は税制の面からも活発に議論されるべきである。

家庭と仕事の両立支援については、保育サービスの充実が進められてきたが、家庭保育に対する支援にも力を入れるべきである。

意識改革・啓発等に関する分野では、全国の自治体で広がっている若者への「ライフデザイン教育」等が具体例として挙げられる。若者の進路選択において、就職だけではなく結婚や出産、育児などのライフイベントを視野に入れて総合的にキャリアを考えるようにする狙いがある。

以上の政策に加えて、心理的な面から家族関係を支援する政策も重要である。家族内の葛藤や不健全なコミュニケーションが持続すると、家族病理の発生につながるほか、家族が諸課題に対応する力(適応性)を低下させ、ストレスを増加させる。現在、家族関係支援は、すでに虐待などの問題が顕在化した家庭に対して、児童相談所などにより行われるもの以外はあまり見られない。問題が深刻化する前に、家族問題を気軽に相談できる窓口や、家族療法などを含む心理社会的な家族支援の普及が望まれる。また、日本では家族問題を人に相談しづらい雰囲気がある。子育てや家族の問題を相談してもよいという意識啓発なども重要となろう。

既に取り組まれている政策も多くあるが、それらを「家族政策」として総合的・包括的に捉える視点が重要である。そのことが少子化対策だけでなく、家族が抱える様々な問題の解決、さらには地域社会の安定と発展につながる。

「家族政策」は、厚生労働省、文部科学省、財務省、法務省など様々な省庁の管轄にまたがることから、総合的に推進するのは容易ではない。2023年4月には、子供政策を一元的に集約する「こども家庭庁」が設置される。こども家庭庁には、政府全体の少子化対策やこどもや若者の健やかな成長に関する施策を強力に推進すること、地域の実情や課題に応じた少子化対策を進めるため地方公共団体の取り組みを支援することが主要な事務として位置付けられている。縦割り行政を打破することは容易ではないが、こども家庭庁は、幅広い視点を持ち、子供の問題の背後にある家庭・家族を丸ごと支援する家族政策の視点から施策を打ち出すことを期待したい。

②子育てフレンドリーな社会の実現

少子化を緩和・克服し、家族生活の安定と子供の健康な発達を保障するためには、「子育てフレンドリーな社会」を実現していく必要がある。「子育てフレンドリーな社会」とは、人々が仕事・経済活動と子育て・家族生活の間でバランスをとることのできる社会である。

現在の子育て家庭は孤立しやすく、同時に仕事と子育て・家族生活の多重役割を負っている。高度成長期以降、都市部への人口移動と核家族化により、家族規模が縮小し、地域コミュニティは衰退した。また、1990年代から続く長期の経済停滞により、多くの家庭では共働きを余儀なくされ、長時間労働を強いられている。加えて、少子化により、産業界にとって女性の就労は欠かせないものになった。現代日本社会は、子育ち・子育てにやさしい環境とはいえない。

家族生活を充実させることは、子供の発達と一人ひとりの家族成員のウェルビーイング(心身が健康で社会的にも満たされた状態)にとってきわめて重要である。まず、充実した家族生活は、子供が家族との情緒的関係を肯定的に捉えやすくし、子供のウェルビーイングを実現しやすくする。親にとっても、夫婦で共に子育てをすることは夫婦間の信頼関係を向上させる。良好な家族関係は信頼関係の基であり、その意味で家庭は社会における共生の核であると言える。

しかし、現在の日本社会では多くの場合、人々は仕事・経済活動を中心に時間とエネルギーの配分を行い、その残りを子育てと家族生活に充てざるを得ない状況にある。経済活動や社会活動ととともに、子育てと家族生活もより充実させられるように社会の制度を設計する必要がある。

そのために必要なことは、第一に、家族が共有する時空間への配慮である。子育て期にある男女には、必要に応じて家事・育児に充てる時間をとれるよう、働き方を柔軟に変化させられるようにすることが望ましい。男女の育児休業を取りやすくするとともに、短時間勤務およびその間の一定額の所得保障などが重要となる。

また、子育てしやすい場所で仕事をできるようにすることも効果的である。高度成長期以降の職住分離は、主に父親を家庭から引き離した。その結果、通勤に時間を取られることで家事・育児に充てる時間を圧迫している。ICTを活用した在宅勤務や職住近接への取り組みが進みつつあるが、それをさらに推進すると同時に、頻繁な転勤や単身赴任をしなくて済むような配慮も重要である。子供が乳児期の時から両親が密な関わりをもつことは、子供の発達に必要であると同時に、母親の精神的安定に寄与し、虐待防止にもつながる。

第二に、子育て版の地域共生社会の構築である。子育て家庭は喜びも大きいが、ストレスを抱えやすい。加えて、共働きの普及で、家庭に持ち込まれるストレスも増えている。孤立の解消・緩和のため、近隣の相互扶助やNPOに代表されるインフォーマルな支援、行政・社会福祉法人などによるフォーマルな支援を総合した支援ネットワークの構築が重要となる。

その際、保育所や学校は、重要な子育ち・子育て支援の場となりうる。少子化の進行に伴い、保育所や学校は、様々な年齢の子供同士の交流の場として重要度が増している。また、子育て困難家庭にとっては、セーフティネットの役割も果たす。ただし、質の高い保育の保証が不可欠である。保育における、規制緩和による無軌道な量的拡大は、保育の質を低下させるおそれがある。子供の年齢と発達段階に応じた利用をすすめ、適切な人材の育成と配置によって環境を整備していく必要がある。

「包括的家族政策」(前項参照)と合わせて、以上のような社会環境の整備が「子育てフレンドリーな社会」の構築に寄与するであろう。

③人間性を育む「人格教育」と学校改革

学校教育(初等・中等教育)の目標について、現在の学習指導要領は、子供たちが未来社会を切り開くために必要な資質・能力として、「(実際の社会や生活で生きて働く)知識及び技能の習得」「(未知の状況にも対応できる)思考力、判断力、表現力等の育成」「(学んだことを人生や社会に生かそうとする)学びに向かう力、人間性等の涵養」という三つの柱(「学習の三要素」)を示し、これらをバランスよく育成することを目指している。そのために強調されているのが「主体的・対話的で深い学び」の視点である。

一方、教育基本法第一条(教育の目的)には「教育は、人格の完成を目指し」とある。「人格の完成」のための教育は、学習指導要領の内容を実現していくための基礎教育と言えるが、これまで人格を完成した人間像が明確にされたことはない。

「人格の完成」と最も関連の強い教科は、2018年度から実施されている「特別の教科 道徳」である。その学習指導要領では、「道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」ことを目標とし、指導方法は従来の読み物資料だけでなく、「問題解決的な学習、道徳的行為に関する体験的な学習等を適切に取り入れる」といった内容が示されている。また、文科省が定めた教育振興基本計画(2023〜27年度)では、基本方針として「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」と「2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」を掲げている。

では、日本が持続可能な社会と国家を築き、新たなグローバル文明の担い手となるために必要な人間像、日本社会のウェルビーイング(心身が健康で社会的にも満たされた状態)の向上に資する人間像とはどのようなものであろうか。ここでは「人格の完成」を念頭に、教育目標となる人間像として三つの視点を提起したい。

第一は、個人として成熟した人格を有する人間である。成熟した人格とは、時代や地域・文化を超えて、普遍的に人間としての美徳とみなされている徳目(品性)を備えた人間である。第二に、家庭人や社会人として円満な人間関係を築き、他者と共生することのできる人間である。第三に、個人の特性や個性を活かして社会に貢献する奉仕の心と習慣を持った人間である。

これらの資質を持ち合わせた人物を育成するために、「特別の教科 道徳」を軸に、学校生活のあらゆる面を通して子供たちの人間性を育むことが重要である。

米国では、1990 年代以降、徳目(品性)教育に力点を置いた「Character Education」(人格教育)を推進しており、大きな成果を上げている。米国の人格教育では、「感謝」「従順性」「正直」「思いやり」「勇気」「権威」「責任」「忍耐」「配慮」などを、時代や地域・文化を超えた人間としての普遍的な徳目として教育している。その特徴は、①道徳的知識(知)だけでなく、道徳的感情(情)を養い、具体的な行動(意)に結びつけて「習慣化」させる点、②学校・家庭・地域社会が協力しながら、学校を中核とした「道徳的文化」を地域社会全体に築いていこうとする点にある。

日本でも「道徳」が教科化され、道徳に対する各教員の意識の向上や授業時間の確保などの面で進展が見られようになった。ただし、教科書はできたが、それを教える専門教員の養成は手付かずの状態にある。道徳を専門とする教員の養成が今後の課題である。また、現在の教員養成課程には「道徳の指導法」はあるが、道徳の教員免許が設けられていないため、道徳教育の理論を構築する専門家を養成する仕組みが十分ではない。大学の道徳授業研究も進んでいるとは言い難い。

従って、道徳教育の質を向上させるためには、第一に道徳専門の教員免許を設けることが必要である。そのためには「道徳とは何か」という道徳哲学、道徳に関する学問的な理論体系の構築を図る「道徳学」の研究が不可欠となる。「道徳学」の研究が進んで初めて、道徳を専門とする教員の資質とは何か、道徳を専門とする教員養成に何が必要なのかが、学問的に明確になるからである。

第二に、学校と家庭・地域社会の連携・協力体制の構築を推進することが重要である。学校・家庭・地域社会が連携する仕組みとしては既に「コミュニティスクール」(学校運営協議会制度)がある。これは、学校運営について保護者や地域住民が学校づくりに参加する制度であり、地域とともにある学校づくりを推進し、社会全体で子供の育ちを支えていくことを目指している。子供たちの道徳性や人格の育成も、学校生活だけでなく、学校と家庭、地域社会全体で教育目標やプランを共有し、地域もその一端を担って推進することが望まれる。米国の人格教育同様、子供たち個人の道徳育成という視点にとどまらず、地域社会における道徳的文化の造成という社会的なビジョンを学校・家庭・地域社会全体で共有し、取り組む必要がある。

第三に、道徳の具体的実践を組み込むことが効果的であろう。これまでの日本の道徳教育は「道徳性」が重視されたものの、それは道徳的判断力、道徳的心情、道徳的実践意欲と能力という、内面的な資質の域を出ていなかった。学校行事や部活動、清掃活動などを通じて道徳性を育成するような指導が行われてきた側面もあるが、米国の人格教育で重視しているサービスラーニングのように、教室で学んだ知識を地域社会の課題解決に生かすといった具体的実践を念頭に置いたものではない。道徳を日々の生活に活かすためにも、学校生活や地域社会での実践を通じて道徳行動を習慣化させることが重要である。

一方、現在学校教育現場には、様々な課題が山積している。本来は家庭や地域でなすべきことも学校に委ねられ、学校と教師の負担が増大している。外国人児童生徒の増加、不登校児童生徒の増加、特別支援教育の拡充、貧困やいじめなど、様々な状況にある児童生徒への対応にも追われている。その結果、教員の長時間勤務による疲弊、採用倍率の低下と教員不足が深刻化している。全国の公立学校の教員不足は2021年時点で2000人余に上り、学級担任の不足や授業が行えなくなったケースもある(文部科学省2022b)。

今後は、人口減少により学校教育の維持と質の保障についても課題が生じることが予測される。「少人数学級」の推進や情報端末を活用したGIGAスクール構想など新たな取り組みも進められており、教員の指導力の一層の向上が必要とされている。教員人材の確保と質の向上、専門性を高める体制づくりと共に、学校現場における働き方改革の推進が急がれる。

学校教育において重視すべきは、子供の人間性を養う人格教育とそれを担う専門性を持った教員の養成、及び教職員の労働環境の改善である。とりわけ、人格教育を進める上でも、学校教育を支える教員の労働環境の改善は急務である。

④未来創造のための高等教育改革

グローバル化により国境を越えた国際間の大学競争、高度専門人材の奪い合いが激しくなっている。近年日本の大学の評価は下がっており、国際間の競争においても、決して優位な位置にはない。他方、少子化により18歳人口が激減しているにもかかわらず、大学設置数は増加し、定員割れの大学が続出している。日本は大学淘汰の時代に突入しており、高等教育は抜本的改革が必要とされている。

国際的かつ国内的諸課題解決のためには、科学技術の開発が不可欠である。米国、中国、ドイツなど他の主要国が博士課程入学者、博士取得者の数を伸ばしているのに対して、日本だけは過去20年間に横ばいあるいは減少傾向にある。

大学を巡る国内外の環境変化に対して、政府の危機意識も強く、2022年、内閣府や文科省が立て続けに未来人材に関する提言を発表した。同年5月、内閣府の教育未来創造会議が発表した提言「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第1次提言)」で今後取り組むべき課題として特に強調されたのは、「大学等の機能強化」などによる人材育成の方策である。高等教育の重点項目として、「文理の壁を超えた普遍的知識・能力を備えた人材育成」「デジタル、人工知能、グリーン(脱炭素化など)、農業、観光などをけん引する高度専門人材の育成」「修士・博士人材の増加」などが挙げられている。

今後の高等教育改革において特に重要な方向性は、「高度専門人材の育成」と「大学による地域活性化」の二点である。

「高度専門人材の育成」には、給与や研究環境の改善、若手研究者が活躍できる安定的なポストの拡充、多様なキャリアパスの開拓が必要である。専門性の高い博士人材の活用が遅れていることはかねてから指摘されており、博士課程修了者の就職率は臨床研修医やポスドクを含めても67%前後で低迷している。人文科学や社会科学では30~50%台に落ち込む。企業の研究者に占める博士号取得者の割合は5%以下であり、大学の研究職や企業の研究者として高度専門人材が活躍できる多様なキャリアパスをどう創るかが課題である。

また、博士課程学生への経済的支援や研究環境にも大きな課題がある。欧米では、博士課程学生に対して個人を対象とする研究奨学金のフェローシップ、研究補助業務に対して給与を支払うRA(リサーチ・アシスタント)、教育補助業務を行うTA(ティーチング・アシスタント)など、多様な経済的支援の仕組みが充実している。日本でも2022年度から科学技術支援機構が「次世代研究者挑戦的プログラム」を開始し、博士後期課程学生を対象に研究費などの支援強化を始めた。研究環境の改善については、政府が10兆円規模の大学ファンドを創設し、世界と伍する研究大学を目指す「国際卓越研究大学」を認定して、研究体制を強化する方針である。一部の有力大学に資金を集中する「選択と集中」の手法には、他の大学との格差拡大を懸念する声もあるが、そうした点も踏まえながらも、若手研究者が経済的不安を抱えずに研究に集中できる環境の整備を急ぐ必要がある。

同時に、どのような高度専門人材を育成するかという点についてもビジョンが必要である。専門分野を極めるのはもちろんのこと、専門性と総合性のバランス、パブリックマインド、国際的視野など、未来を創造していく上で重要な素養を育むことが肝要である。これらは、初等中等教育との連続性の中で検討されるべきであるが、高等教育の仕組みやカリキュラムにおいても工夫の余地があるだろう。

二点目の「大学による地域活性化」について、地方の中核大学には各地域のローカルな社会課題の解決を担う人材の育成、およびそのための研究拠点となることが期待される。文科省は2020年から若者の地元定着と地域活性化推進を掲げ、「大学による地方創生人材教育プログラム構築事業」を開始した。大学と自治体、地元企業の連携による、地域人材育成機関としての大学の機能強化が期待されている。

2022年2月に政府が公表した「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」では、特定分野に強みを持つ大学がその強みを発揮し、人材育成や産学官連携を通じた社会課題解決と地域貢献などを推進していく方向性が示された。都市部と比べて進学率が低いこと、学生の確保が困難であることなど、地方における大学経営は容易ではない。そうした中で、産官学連携による社会課題解決と地域貢献を進めることで大学を地方創生の主要アクターとして位置づけることが目指されている。

今後、分権・分散・地域自立型の社会を目指すうえでも、地方中核大学によるローカルな社会課題解決のためのプロフェッショナルの育成は大いに期待される。また、そのような各地の具体的な課題解決に携わる人々の全国的なネットワークや、グローバルな諸課題との接続によって、「課題解決先進国」としての日本のプレゼンスを高めていくことが重要である。

参考文献