欧米モデルの限界を補填し、中国モデルに代替する「日本型開発協力」を推進する

近年中国の対外援助額が増加し、その影響力が強まっている。中国は、自国の対外援助を欧米諸国のODAとは異なる南南援助と位置づけ、既存の規範に対する新たな規範・援助モデルを打ち立てようとしている。中国モデルは、「内政不干渉」「相互利益の原則」が特徴であり、欧米諸国のODAが手薄なインフラ開発を重視し、被援助国から歓迎されている側面がある。しかし、中国の対外援助は覇権主義的な国家戦略の重要な役割の一環を担っており、看過できない。

中国の台頭により、欧米型援助の課題や限界が明らかになった現在、日本は欧米型援助に対する積極的な代替案を提示していくべきである。途上国の主体性や自助努力を尊重する仕組み、経済的自立を最終目標として援助・貿易・投資の相乗効果を生み出す経済協力プロジェクトの実施など、日本モデルと言えるODAの在り方を発信し、欧米モデルとの補完的関係を構築することで、開発協力界全体に貢献しうる。同時に、援助国として大きな影響力を持ちつつある中国が、西欧諸国に対抗する形で代替案のロールモデルとなることを防ぐことにもなる。日本が「平和の戦略」をもって国際開発をリードし、独自の形で貢献することが必要とされている。