沿岸域総合的管理を推進するための法整備を行う

海洋環境・生態系の保全と持続可能な社会に資する海洋利用を同時に実現するには、沿岸域の総合的管理が不可欠である。沿岸域の問題については、陸域と海域を切り離して考えることはできない。その地域に住む人々は日常的に海を利用しており、陸域と海域を一体的にとらえて管理するという視点が重要である。

しかし、日本では沿岸域の総合的管理は進展していない。その理由は、①国際的に共有されている「沿岸域総合的管理(ICM)」を正面から取り上げて実施する法律が制定されていないこと、②沿岸域総合的管理を所管してこれを中心となって推進する省庁がないこと、③都道府県の海域は必ずしも明確に定められておらず、市町村区域には原則として海域が含まれていないため財源も確保されていないことである。

これらの課題を解消する法整備を行い、日本沿岸の陸域・海域を沿岸域として一体的にとらえ、その環境・生態系、開発・利用等の問題に国−都道府県−市町村が重層的に取り組むシステムを構築するべきである。