配偶者控除を維持し、「世帯課税制」を導入する

専業主婦家庭に対する社会的支援は未だに少ない現状であり、子供を家庭で育てたいと考えている人たちへの支援が必要である。配偶者控除の廃止は、専業主婦あるいは準専業主婦世帯への増税を意味しており、専業主婦の就労を無理やり拡大しようとするものである。現役子育て世帯への支援という性格を持つ配偶者控除を廃止すれば、家庭機能を弱体化させて子供の健全な育成に影響を与える可能性があり、財政健全化や少子化対策にも逆行する。

所得税制を改革するのであれば、家庭基盤充実に資する「世帯課税制」の導入を検討すべきである。例えば、三世代家族を単位とした税制の採用である。三世代家族には子育てはもちろん、出生率や教育面などで様々な利点があるといわれている。具体的には、三世代家族の所得合計(家計所得)を家族の人数で割って一人当たりの家計所得を算出し、それに三世代同居が有利になるよう累進税を課す方式が考えられる。その際、祖父母と子供夫婦が同居ではなく近距離に住んでいる場合でも、一つの家族と見なすことで、より多くの家庭にメリットがある。この方式により、税を払うのも補助金を受け取るのも家族単位になる。