家族全体を支援対象とする家族の心理的支援の専門家養成を促進する

日本では不登校や引きこもり等、子供の養育に関する問題が社会的課題となっており、「家族問題多発社会」となっている。こういった問題を解決するには家族全体を支援対象とする家族療法が有効だが、日本ではその体制が整っていない。家族問題に根本的に対処するため、家族を丸ごと支援する体制の構築と専門人材の育成が急務となっている。

日本には臨床心理士が3万5千人程度、公認心理士が3万人近くいるが、その養成課程で家族の心理支援について学ぶ機会は少ない。家族の心理支援を専門とする資格には家族心理士と家族相談士の二つがあるが、有資格者は非常に少ない。しかも、家族心理士や家族相談士の研修には、国や県などからの公的支援もかなり不足している。中央省庁でも家族支援専門家の不足は認識されており、2020年度には人材育成に32億円の予算措置が行われた。しかし、日本には家族支援の人材とノウハウの蓄積がないため、短期間で必要な水準まで専門家の数と質を揃えるには不足である。より積極的な財政支援の推進が必要である。