子育て支援として、家族関係支出の増額と給付型奨学金制度を充実させる

児童手当は子供手当を経て拡充されたが、日本の子育て支援予算や教育予算は、国際的にみても非常に少ない。各国の家族関係社会支出の対GDP比は、スウェーデン(3.42%)、イギリス(3.19%)、フランス(2.9%)、ドイツ(2.4%)に対して、日本は1.65%にとどまっている(内閣府「令和3年版少子化社会対策白書」)。まずはこの増額を検討すべきである。

低出生率の対策として保育所ばかりが注目されているが、家庭における学校教育費の負担は大きく、実際は教育費がかかりすぎることに、低出産の大きな要因がある。問題の一つは、現在の大学の奨学金制度にある。5割以上の学生が奨学金を受給しているが、基本的には貸与制で「借金」である。政府では現在、「出世払い型」奨学金の導入が検討されている。これは卒業後に所得に応じて返金する制度である。公財政が逼迫し、欧米に比べて寄付文化が根付いていない日本であるが、給付型の奨学金制度を充実させるべきである。