育休給付金を引き上げ、男性の育児休暇取得率をあげる

 生物学的にみると、母親だけに育児の負担が集中するのは不自然であり、共同養育者として父親の役割が強く期待されている。男性が家庭に関わり、夫婦ともに家庭を中心としたワーク・ライフ・バランスを実現すれば、子供の発達を含めた家族全員のウェルビーイングに資する。親の発達に関する研究から見ても、政府が検討している父親の産休取得制度は大きな意味がある。

しかし、日本の男性は育児参加の意識が低く、家庭への関与が少ないのが現実である。家庭における父親の役割について、父親自身だけでなく、家族や社会全体で見直す必要がある。

2020年度、男性の育児休暇の取得率は12.65%となり、初めて1割を超えた。2022年には「産後パパ育休制度」という男性独自の育児休業制度も導入された。しかし、依然として男性の取得水準は低い状態にある。原因として大きいのは、育児休業給付金の賃金比である。多くの共働き家庭では男性の収入の方が多いため、女性が育休を取った方が世帯収入の減少幅が少ない。男性の育休取得率を上げるには、男性が受け取る育休給付金の賃金に対する割合の引き上げが必要である。