公開情報の収集・分析を強化し、インテリジェンスの向上に取り組む

日本には対外情報機関がない。スパイ防止法もなく、対外情報機関設立への道のりは程遠い。まずは現状で取り組めることを行うべきである。

第一に、オシント,すなわち一般に公開されている膨大な情報の中から,必要な情報を収集・分析する活動を強化する必要がある。日本には「ラヂオプレス」という元外務省所管の組織があり,そこで海外のラジオやテレビ放送を聴取・視聴し,その情報をもとに翻訳・作成した記事を,報道機関や中央官庁に配信している。英国のBBCモニタリング・サービスが70言語,145カ国をカバーしているのと比べると,ラヂオプレスはわずかに20数カ国しか扱っていない。こうした公開情報の分析は日本が得意とする分野でもあるので,もっと強化する必要がある。

他にも、拉致被害者などからの聞き取り調査の実施、ドローンによる現地情報収集、低い解像度のマイクロ衛星の可能性の検討、国際的な情報協力ネットワークへの参加、情報の質向上のための大学や民間シンクタンクとの連携協力,ビッグデータの活用,インテリジェンス・リテラシーの向上などに取り組むべきである。