バランスのとれた海上防衛力の整備と環境を推進する

中国海軍の動きは、日本の安全保障のみならず海洋の自由に対する重大な脅威である。日本は中国海軍の第1列島線から太平洋への進出を阻止し、米軍の日本支援や西太平洋へのアクセスを可能ならしめるとともに、シーレーンの安全を確保するため、水上艦艇や潜水艦の増勢、機雷敷設能力の強化等海上防衛力を増強する必要がある。

現在の海上自衛隊は対戦戦能力では世界有数のレベルにあるものの、海外での長期展開や邦人救出、兵員輸送、対水上戦、島嶼防衛戦等の能力には限界があり、独立国家に必要とされる均衡のとれた海洋防衛力にはなっていない。

今後は独力で外洋や海外での長期作戦行動が可能となるよう、補給・揚陸機能などの後方支援機能を含むバランスの取れた海上防衛力の整備と増強が求められる。また、海上保安官の増員や大型巡視船の増強、武装強化に加え、海上保安庁の沿岸警備隊への昇格も検討すべきである。自衛隊に領域警備の任務を付与するとともに、海上自衛隊と海上保安庁の一体的運用を可能とする施策も必要である。