「共生」「家庭」「コミュニティ」を軸とするポストSDGsの理念を牽引する

21世紀に到来すると考えられる新たなグローバル文明は「共生」による平和の文明であり、個人の「人権」を重視すると共に、東洋的な「家庭」「コミュニティ」の価値を重視する文明となろう。日本はSDGsを支える「人間の安全保障」と「持続可能な開発」という理念の発展に大きく貢献してきた。新たなグローバル文明の形成を念頭に、ポストSDGsの理念形成においても積極的に議論を主導すべきである。

ポストSDGsの理念としては、第一に「共生」が挙げられる。持続可能な社会を実現するためには、個人の人権の尊重と併せて、いかに他と共生していくか、共同体としてのコミュニティや社会をいかに守っていくか、という視点を国際社会で共有する必要がある。

第二に、「家庭」の役割を重視し、家庭を保護・支援する方針を明確にすべきである。社会の最小単位は家庭であり、家庭は様々な社会課題解決の出発点でもある。SDGsの中には家庭生活と密接に関係している目標が多くあるにもかかわらず、「家族」に言及しているターゲットは2つしかない。家庭が健全に機能するための支援を充実させる必要がある。

第三に、地域「コミュニティ」の役割を重視することである。人々の共生は、家庭を基盤とし、地域社会におけるコミュニティにおいて具現化する。宗教や人種、民族が異なる人々の地域における共生においても、各々が属するコミュニティの役割は重要である。