「自由で開かれた北東アジア経済圏」構築を提唱し、日米韓の戦略的連携を推進する

自由で開かれたインド太平洋のビジョンや戦略は、冷戦構造が今なお残っている北東アジアにこそ必要である。安保を主要テーマとすれば、中国・ロシア・北朝鮮の結束を促すことになる。

そこで、日本は「自由で開かれた北東アジア経済圏構想」を提唱し、経済を全面に立てるべきである。日韓は、ルールベースの通商の重要性を共有している。また、投資などを通して、米国の積極的関与を促すことで、「自由で開かれた北東アジア経済圏構想」は日米韓の戦略的連携をはかる新たなビジョンになりうる。

具体案として、日本、韓国、北朝鮮、中国の東北三省、ロシアを物流新幹線でつなぎ日本海を囲むように一周させる環日本海経済圏の構築などがあげられる(大矢野栄次・久留米大学名誉教授が提唱)。この場合、人口約3億3千万人を抱えるEUと同規模の経済圏が見込める。日本(技術)、韓国(技術)、ロシア(資源)、東北三省(労働力)、北朝鮮(資源)というそれぞれの特性をいかして、相互に利益を得ることが期待される。さらに、米英仏独などの域外大国を巻き込むことで、ともに利益になる経済圏を構築できれば、それらの国から敵視されることもない。

「自由で開かれた北東アジア経済圏」は「ルールベースの通商を重視するCPTPP」、「自由で開かれたインド太平洋」とも一貫性があるため、日本が提唱することで日本外交のプレゼンスを高めることが期待される。