「日本型ネウボラ」により、地域における子育て家庭への一元的支援体制を整備する

2021年度、日本では不登校の子供(小中学生)が約24万5千人、引きこもりが100万人以上と言われ、虐待も増えている。こうした状況を改善するには、子供の発達と養育のための環境を改善する必要がある。具体的には、親がいつでも気楽に育児相談ができる居心地の良い場所が必要である。

参考になるのがフィンランドの「ネウボラ」である。「ネウボラ」はフィンランドで行われている子育て支援制度で、「助言する場所」を意味する。すべての親子を対象として、継続的な子育て支援のための拠点整備を行っている。ネウボラには2名から3名の保健士、心理士、巡回医師やセラピストがついており、妊娠期から就学期の6歳まで切れ目なくサポートする。一人の担当者が継続して支援するのがネウボラの特長である。この制度によって早期介入が可能となり、生まれてすぐ虐待死するようなケースは少なくなる。

全ての自治体で設置が努力義務となっている「子育て世代包括支援センター」は、母子を支援する業務を行っており、日本版のネウボラとも言える。そこに父親を含めた親子支援の仕組みとして整備を急ぎ、地域において子育て家庭を一体的に支援する体制を構築すべきである。