アジア太平洋地域に海洋国家連合を構築する

アジア太平洋地域の平和と安全保障を担保するために、日本は米国と協力し、また米国の力を補うとともに、新たな国際秩序の形成にあたり大きな役割を担う立場にある。欧州と異なりアジアは極めて多様性に富み、地政的環境も遥かに複雑で、その作業は容易ではない。しかし、アジア太平洋の国々には、自由で開かれた社会を基調とする海洋国家としての共通性を見出すことができる。価値観や発展方向を共有する海洋諸国間の連携連帯を深め、アジア・太平洋地域の平和と繁栄のルールや秩序を築く取り組みとして、海洋国家連合を構築すべきである。

現在、アジア太平洋地域の安全保障は、米国と東アジア域内諸国との二国間の同盟関係がその基本となっている。海洋国家連合を構築することによって、米国とそれぞれ個別の同盟関係にある東アジア域内諸国間の協力と連携、つまりスポーク相互の繋がりを強化し、ハブ・スポークをネットワークの構造へと発展させることは、安全保障スキームを強靭化させパクスアメリカーナを補うだけでなく、東アジアにおける地域協力や地域統合の動きを加速させることにも資する。