官民が総力をあげて、資源保有国の経済・人材育成に貢献する

2004年のレアメタルショック以降、鉱物資源が国家戦略の重要な柱になることを認識した資源保有国は、鉱物資源に関して保護主義的な政策(資源ナショナリズム)をとる傾向が強まっている。このような状況への対策として、資源保有国に工場ごと進出し、現地で資源を確保・消費することが考えられるが、生産拠点の移転は、技術・人材の流出や国内の技術基盤の喪失など国益に反することも多い。加工貿易を経済の重要な柱とする日本にとって、国内の製造業、特にハイテク製造業の基盤はできる限り維持しなければならない。

国益を守るためには、可能な限り資源開発の初期段階から日本企業が関わり、資源保有国の経済や人材育成に貢献すべきである。1社で取り組むにはリスクが大きすぎるので、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、国際協力機構(JICA)、産業技術総合研究所(AIST)などの政府系法人、大学も含めた官民の組織が総力を挙げて資源ナショナリズムに対応していくべきである。