家族税制改革により子育て世帯を支援する

家族税制は、従来の少子化対策では欠けていた分野である。税制は財務省の所管であることから、厚生労働省は政策として打ち出すことができなかった。

かつては、年少扶養親族(16歳未満)に係る扶養控除(住民税33万、所得税38万円)と所得制限のある児童手当(0歳から小学生まで、月額5,000~10,000円)があった。民主党政権下で所得制限をなくした「子ども手当」(0歳から中学生まで、月額13,000円)を創設したのに伴い、年少扶養控除は2012年度に廃止さ、16~18歳の特定扶養控除も減額された。その後、自民党政権下で子ども手当は再度児童手当となり(0歳~中学生、10,000~15,000円)、所得制限(特別給付5,000円)が設けられた。しかし、年少扶養控除が復活することはなかった。さらに、2022年10月から特別給付も廃止され、年少扶養控除も児童手当も受けられず税負担が増えている子育て世帯が存在する。

経済的負担による産み控えが生じている中、この流れは少子化対策に逆行している。こども家庭庁は首相の直属となるから、税制についても様々な提案ができるはずである。例えば、家族の数が多くなるほど所得税負担が緩和されるフランスのN分N乗方式が国会でも議論された。あるいはアメリカの給付付き税額制度、低所得者層に一定の支援を行う方式なども参考としながら、議論を深めていくべきである。

子育て世帯への経済的支援策は、少子化対策としての効果も期待できる非常に重要な政策であるので、年少扶養控除の復活や児童手当の所得制限撤廃をはじめとして、家族税制の改革による子育て支援を行うべきである。