拉致問題解決を「入口論」から「出口論」へと現実的に転換させる

日本の対北朝鮮外交は完全に行き詰まっている。日本独自で北朝鮮を変化させることは困難であり、米韓と協調し、北朝鮮と対話の窓口を確保していくしかない。対話ができる外交関係を築いた上で、拉致問題の解決を目指す。すなわち、拉致問題解決を「入口論」から「出口論」へと、現実的に転換させる。

北朝鮮では拉致問題は終わったとみなされており、担当部署は解体され、関心もない。また国家の特殊性から、最高指導者が「死亡」と公言したことが覆ることはない。それだけに、日本から「全員生存、帰還」という条件を突きつけられると、北朝鮮としては動きが取れない状況にある。それでも北朝鮮は「話し合いには応じる」とは言っている。

膠着状態を打破し、交渉を進めるには、選択肢を広げるしかない。「生存」を前提とするのではなく、「生存もあるし、そうでない場合もある」とし、その代わりに日本人専門家による現地調査など、事実確認する場を増やして真相究明に努める。

日本にとっての対北朝鮮政策は、拉致問題解決と核・ミサイル問題解決一辺倒であった。北東アジアの秩序が転換期を迎えていることを踏まえて、長期的戦略的視野に立った対北朝鮮政策を構築すべきである。