中国と北朝鮮を離間させるべく、対北朝鮮政策の戦略的転換を図る

北朝鮮は経済の9割を中国に依存しており、完全に中国に首根っこを押さえられている。北朝鮮は米国を敵視し、経済的には中国に依存しているが、中国への警戒心も強い。北朝鮮の念願は、米国との関係改善もさることながら、中国からの経済的自立である。

現在の北東アジアにおける構図は、日米と中朝の対立、あるいは日米と中朝露の対立だが、日本にとって望ましいシナリオは、中国と北朝鮮が対立する構図にもっていくことである。しかし、米中対立激化の副産物として、現状では中国と北朝鮮の関係が緊密化しており、このシナリオから遠ざかる一方である。

そこで日米韓の連携のもとで「自由で開かれた北東アジア経済圏」構想を推進し、北朝鮮をその枠組みに入れることで、中長期的に北朝鮮を中国の影響圏から引き抜くことができよう。日本と北朝鮮のつながりは一般に考えられている以上に強く、日本としても積極的な戦略思考が求められる。拉致問題の膠着状態を打開し、対北朝鮮外交を前進させる大局的な観点からも北朝鮮外交の戦略的転換を図るべきである。