海底資源開発管理共同体の創設・ガイドラインづくりに貢献する

海底には種々の鉱物資源が手つかずのまま放置されている。日本周辺の海底には、レアアース、熱水鉱床、メタンハイドレート等の種々の資源が存在することが明らかになってきている。

レアアースはハイブリッド・電気自動車、スマートフォン、LEDなど我々の日常生活の様々な場面で活用されている。2018年から内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム第2期 革新的深海資源調査技術」で、レアアース泥の採泥・揚泥技術の開発が開始された。

また、2017年には独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、沖縄近海で海底熱水鉱床の採鉱・揚鉱パイロット試験に世界で初めて成功した。推進1,600メートルの海底で掘削・集積した海底熱水鉱床の鉱石を水中ポンプ及び揚鉱管を用いて、海水とともに連続的に洋上に引き揚げるものである。海底熱水鉱床は世界では350か所程度発見されており、ニュージーランド、フィジー、パプアニューギニア、マリアナ、日本に至る西太平洋の島弧・海溝系に分布する。

日本の他にも、ロシア、フランス、中国、韓国、インドおよびドイツが国際海底機構から公海域での探査権を取得し、世界的にも権益確保の動きが活発化している。

海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS: United Nations Convention on the Law of the Sea)第87条で公海自由の原則が明記されている。一方、第136条では深海底の資源は人類の共同遺産(the common heritage of mankind)とある。領海内および公海における資源開発を各国に委ねたままでは、今後、海底資源の争奪戦が勃発しかねない。また、海底における資源開発により生態系を破壊してしまう危険性がある。保全すべきところと開発すべきところをどう設定するかのゾーニングも重要である。

日本は、海洋国家として、海底資源開発管理共同体の創設や、ガイドラインおよびルール作りに積極的に取り組むべきである。