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【海外子育てコラム_スイス vol.4】「多文化」と「自然」を生きる日々

EN-ICHI編集部

2025年8月6日

スイスで4人の子供を育てるあいさん(仮名)。お話を伺う中で多文化的な環境と豊かな自然の中で子育てを楽しむ姿が見えてきました。

子供たちは、多文化の中でどんなふうに育っていますか?

言葉に関して言えば、我が家は、私とは日本語、夫とはスイスドイツ語、義理の家族が集まれば英語、いとこ同士ではポルトガル語やフランス語で話します。また、アルバニアからの移民が多いので、学校や幼稚園では簡単なアルバニア語まで話せるようになります。

子供たちにとって、言葉は“勉強するもの”じゃなくて、“生活に必要なもの”という感覚みたいです。

※上記写真はイメージです

移民の多いスイスですが、教育現場もそれに対応しているんでしょうか?

ええ、すごく整っています。幼稚園でもドイツ語教室があって、ドイツ語がしゃべれない子供たちのサポートをしてくれています。うちの子供も、ドイツ語の発音が上手くできなくて、言語療法士のクラスに通って発音の練習をしています。幼稚園や学校は、子供が言語面でつまずいても“恥”とか“劣等感”を持たないように、丁寧にサポートしてくれます

また、スイスにはドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語という4つの公用語があります。たとえばドイツ語圏の公立小学校では、ドイツ語に加えてフランス語と英語も学びます。他の言語圏でも、それぞれ自分たちの言語に加えて、ドイツ語と英語を学ぶカリキュラムが組まれています。このように、スイスでは多言語に対応できる教育環境が整っています。

あとは「文化紹介の日」もあります。子供たちが自分の母国の文化を紹介する機会で、うちの子も日本語のあいさつをしたり、折り紙を教えたりしました。そういう中で、他国の文化にも自然に向き合えるようになっていきます。

「違うこと」が「普通」な環境にいると、「比べる」って感覚自体がなくなってくるんですよね。子供たちは、お互いの背景を理解し合いながら育っている感じです。多様性を「学ぶ」んじゃなくて、「一緒に生きる」ことが当たり前としてあるんです。

休日の過ごし方はどんな感じなんですか?

休みの日は、アスレチックで遊んだり、サイクリングをしたり。あとは目の前に森があるから、森を散策して木の実を取ってきて食べたり、ソーセージを木の枝に刺して焚き火で焼いたり、虫を探したり、どんぐり拾ったり。冬は大体雪合戦しようってなったり。スキー場ではないんですけど近くに小高い丘があって、そこから滑り降りて遊んでいますね。

人が作った何かで遊ぶというよりは、「自然で遊ぶ」という感じです。自然に触れながら、想像力や観察力、それに“生きる力”そのものが育まれている気がします。

雪遊びの様子(あいさん提供)

思いっきり自然で遊んでいるんですね。

休日に限らず、平日でも川を泳ぎながら帰宅したりもするんですよ。スイスには、ライン川をはじめ多くの川があるので、仕事や学校帰りに水着に着替え、川を泳ぎながら下り、途中で落ちているたきぎを拾って火をおこし、ソーセージを火で炙って食べ、家まで川を泳いで下りながら帰るんです。

それはワイルドすぎて驚きです!レジャー施設に行ったりはしないんですか?

もちろん動物園や科学館、遊園地なんかもありますが、私の印象では日本ほど充実していないです。あとは、こちらの人って自然が好きで、休日はサイクリングやハイキングをしたり、あとはバーベキューをしたり、そういう方が多い気がします。休日についての会話も、今週はこの山に登った、来週はこの山いいよねとか、そういう感じです。

だから日本に行くと、いろんなテーマパークやゲームセンターみたいなところがあって、「なんで日本はこんなに楽しいの!」って言って、夜も寝れないくらい興奮しちゃったりします。

自然豊かなスイスの風景(あいさん提供)

【海外子育てコラム_スイス】
vol.1 国際色豊かな社会―「違い」を受け入れ、共に生きる
vol.2 妊娠・出産体験談―合理的で温かなケアが支える“家庭での産後”
vol.3 「自立心」「自己主張」「創造性」を育む教育
vol.4 「多文化」と「自然」を生きる日々
vol.5 しっかり決める「家庭のルール」
vol.6 暮らしの中で「働くこと」を見つめ直す

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