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【海外子育てコラム_韓国 vol.4】少子化が進む韓国の実情
「子どもがいるだけで地域が明るくなる」――韓国南西部・海南で5人の子を育てるさとこさんは、そう語ります。少子化が進む韓国では、子どもを産み育てることが地域社会において大変歓迎されるそうです。今回は韓国社会が抱える少子化のリアルを伺いました。
「子どもは地域の宝」――急速に進む少子化と地方の現実
―韓国では少子化が深刻だと聞きますが、海南のような地方都市の実情はどうですか?
はい、少子化は非常に深刻です。私の周りでも、子供は一人の家庭が多いです。結婚しても、一人目を産むまでに時間がかかる傾向にあり、市内の保育園では年配のお母さんが幼い子供を連れてきている状況がよく見られます。
韓国ではソウルに行くことが成功という考えが田舎には根強くあり、若者がソウルに集まる傾向があります。しかし、ソウルに住む人々には経済的な余裕がなく、田舎にあまり帰省しない人が多いです。その結果、お孫さんに会えないおじいちゃん、おばあちゃんが多く、地域全体で子供が貴重な存在になっているように感じます。
我が家には子供が5人いますが、地域の方々には非常に喜ばれていると思います。
5人目出産はニュースに――行政からの“お祝い”の背景
―5人目のお子様を出産された際、地域で盛大にお祝いを受けられたそうですが、具体的にどのようなお祝いでしたか?
5人目の出産後、私が利用していたチョリウォン(産後調理院)で、保健所の方とお話ししたのがきっかけで、日本人妻が5人目を出産したという話が広まり、行政から連絡が来ました。
当時、私は保健所の方に「どうせあまり支援もないし、海南には住み続けるつもりがないから、出生届は違う地域で出そうと思っています」と伝えていました。すると、海南郡のトップである郡主と、地域の面長が「お祝いしに行きたい」と連絡してきました。
結局、自宅に郡主と面長が訪問してくださり、お米、おむつ、ウェットティッシュ、お餅などの品物でお祝いしてくれました。この出来事は地域の新聞にも取り上げられました。行政がそこまでしてお祝いに来てくれるというのは、やはり韓国の少子化が非常に深刻であるということを裏付けていると思います。

地元にかかった虹(さとこさん提供)
韓国で社会問題化する“外国人妻”
―韓国では「外国人妻」が社会問題化していると聞きましたが、具体的にどのような状況が生じているのでしょうか?
韓国では、外国人の女性が韓国人と結婚して出産するというケースが非常に増えています。しかし、外国人妻が受け取った出産一時金を持って逃亡する等のケースが生じました。他にも、国籍を取得した後に逃亡したり、中には子供を置いて、ある日突然姿を消したりする人もいます。出産金や養育費を得た後に離婚しようとして、「虐待された」など虚偽の訴えをする人もいます。深刻なのは、そういった人たちのサポートグループを組織化している弁護士らがいることです。
このような問題があるため、現在は外国人の名前で出産関連のお金を受け取ることはできず、すべて韓国人の夫名義の口座に振り込まれる仕組みになっています。また、外国人妻は子供の通帳を作成することもできません。 犯罪防止という意味では仕方ないかもしれませんが、私のように普通に結婚して生活している外国人妻にとっては、いい迷惑です。
“良いところ”と“良いところ”をミックスさせる子育て
―海外での子育てを考えている人に、アドバイスをお願いします。
「絶対に逃げ場を確保しておくこと」です。それは、話を聞いてくれる人、相談に乗ってくれる人、そして、ただ同調するだけでなく、ちゃんと良いアドバイスをくれる人を見つけておくということです。
また、海外での子育ては、自分が経験してきた日本の子育ての良いところと、現地の子育ての良いところを「ミックス」できるという利点があると思います。私の経験を振り返っても、日本のように「絶対に迷惑をかけてはいけません」という文化から離れて、韓国のように「“すいません”で終わる、そして“大丈夫よ”で進む」文化に触れることは、考え方を大きく変えるきっかけにもなりました。

公園で遊ぶ子供たち(さとこさん提供)
【海外子育てコラム_韓国】
vol.1 5回にわたる韓国での出産
vol.2 しっかり休める韓国での産後
vol.3 地方ならではの子育て・教育事情
vol.4 少子化が進む韓国の実情
