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【海外子育てコラム_カンボジア vol.1】プノンペンで5人を育てる日々
カンボジア人の旦那さんとプノンペンで5人のお子さんを育てているさやかさん。今回は、現地での子育てや生活のリアルについて、お話を伺いました。(全4回のコラムの第1回目です。)
「子供は社会の宝」――やさしさに包まれた子育て環境
―まず、カンボジアで子育てをしていて「日本と違うな」と感じたことはありますか?
地域の環境とかは、すごくいいと思います。たとえば、レストランに行って子供が少し騒いだり、ソファーで跳ねたりしても、誰も怒らない。スタッフの人たちはむしろ抱っこしてくれたり、あやしてくれたり、本当に子供にやさしい。子供が泣いていたら、「大丈夫?お腹すいてるんじゃない?」って、純粋な関心を向けてくれるんです。
―なるほど、まさに「社会で子供を育てている」感じですね。
そう。他人の子でも、気にかけてくれるんですよね。それって最近の日本ではなかなかないんじゃないかなと思います。日本だと、「ちゃんとしつけしてるの?」って目で見られたり、裸足でいたりするだけでちょっと冷たい視線を感じるようなことがある気がするんですけど、カンボジアは本当におおらか。あまり深く考えてないからかもしれないけど(笑)。子育てにはやさしい環境だと思います。

プノンペンの街並み
多様な人種に囲まれた成長環境
―カンボジアで子育てしていて、「よかったな」と思うことはありますか?
けっこういろんな国の人たちが仕事でこっちに来ているので、多様な人種に触れながら育つことができるのはいい点だと思います。インド人、中国人、韓国人、アメリカやカナダ、アフリカから来てる人もいます。「人間はみんな同じなんだ」って感覚が小さい頃から育つのは、本当にいいことだと思っています。あと、自然といろんな言語に触れるので、2か国語、3か国語は自然と分かるようになるのも良い点かなと思います。
子育てインフラの乏しさと日常の工夫
―逆に、子育てで困っていることってありますか?
公園が少ないですね。だから、ママ友たちと集まる場所もなかなかないんです。あと、安全な歩道がないのが困ります。歩道はあっても車が乗りあげて駐車場になっちゃっているので、子供と一緒に歩ける道がほとんどないんです。100~400メートルくらいなら歩くこともあるけど、危ないのでいつもドキドキしています。
―普段の移動はどうしてるんですか?
もっぱら車か「トゥクトゥク」です。ちょっと大きめのやつだと子供もみんな一緒に乗れちゃうので、大体それで移動します。これは本当に便利で、ワンメーター100円くらいで乗れて、すぐにつかまるので短い距離でも乗っちゃうんですよね。日本にも欲しいくらい(笑)。でも、そのおかげで歩くことが少なくて運動不足だと思います。

街を走るトゥクトゥク
―子育て支援センターとか、子育て世帯向けの施設もあんまりない感じですか?
あまりないと思います。もしかしたら私が知らないだけかもしれないですが、、、私の周りでは、日本人ママたちが週一で学童的な集まりを自主開催してるぐらい。あとは欧米の方々が赤ちゃん教室みたいなものをやってたりしますが、カンボジアで行政が政策として提供してくれているものは認識してないです。
でもプノンペンは都会だから、デパート内にプレイグラウンド(遊び場)があって、2~3ドルで利用できたりします。私の友人たちは結構そういうところに遊びに行きますね。外は暑すぎてなかなか遊べないですから。プールやプレイグランドがついているアパートメントも多いので、そういう場所も利用したりしています。
日常で感じる文化の違い
―カンボジアで子育てをしていて何か驚いたことはありますか?
ありますね。子供への愛情表現が独特なんです(笑)。カンボジアの人は子供がかわいいと顔をぎゅっとつねったり、お尻を軽くペチっと叩いたり、あと甘噛みしたり。そういう愛情表現をする人が多いんですよ。「かわいすぎる!!」って感じでそうなるみたいなんですけど、最初はすごく驚きましたね。でもだんだん慣れてきちゃうんですよ(笑)。
―なるほど、愛情表現は国によって違いがあっておもしろいですね。他にも何かありますか?
人とのかかわり方というか、距離の取り方が、日本とはまた違う気がしますね。子供たち同士でも、「貸して」と言って借りて「ありがとう」と言って返す、みたいな文化がないんですよね。勝手に使っていらなくなったらその辺にぽいっと置いておく、みたいな。あと、輪に入りたいときに「仲間に入れて」というのもなかなか言えなかったり。
大人が子供を叱るときも、「ダメ」っていうことは言うけど、なんでダメなのかその理由は伝えなかったり。そういうことをちゃんと子供に説明するっていうことが、家庭でも教育現場でもないような気がします。
それとも関連しているかもしれないですが、子供同士が喧嘩したり、何か問題があっても基本的に親は介入しないですね。日本みたいに色々言わない。本人たち同士で解決しなさい、っていうスタンスが基本なので。まれに過保護な親もいるけど、全体的には日本の昭和な感じがします。

プノンペンの大通り
「住まわせてもらっている」視点が大事
―海外で子育てをするにあたり、大事なことって何でしょうか。
やっぱり「住まわせてもらっている」という気持ちが大事だと思います。この国は私たちの国じゃない。現地の文化や風習を尊重しながら暮らすこと。それだけでいろんなことがうまくいくと思います。
―確かに、それは重要な視点ですね。
日本はやっぱり先進国なので、特にカンボジアみたいな途上国に住むと、いろんなことが気になっちゃうと思うんですね。でも、日本の考え方がすべて正しいわけでもないし、それがどの国でも通用するわけではないので。人としてのバランスがすごく大切だと感じています。相手を尊重しつつ、自分の中の「良いこと」は伝えていけばいいと思います。
【海外子育てコラム_カンボジア】
vol.1 プノンペンで5人を育てる日々
vol.2 “祈るしかない”出産環境
vol.3 家事・育児と仕事両立のリアル
vol.4 柔軟すぎる教育システムと情緒教育の欠如
