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【情報ファイル】外国人介護人材の確保戦略強化

EN-ICHI編集部

2025年6月14日

厚生労働省(以下、厚労省)は2024年8月、「厚生労働省国際保健ビジョン」を公表し、その中でアジアやインド太平洋諸国と共通課題である高齢化に対応する持続可能な保健システムを確立していくという「循環型高齢者保健戦略」を発表しました。

同戦略では、日本の介護サービスや人材養成システム等に関する知見を広めることで、日本の介護を学びたいという外国人介護人材を増やし、日本国内における介護サービスの担い手確保につなげることを企図しています。また、日本の介護を学んだ外国人介護人材が母国で日本の介護を紹介する等、高齢者保健分野における好循環を生み出す仕組み作りも視野に入れています。

出所:筆者作成

厚労省の介護分野における特定技能協議会運営委員会の資料によれば、介護分野における外国人人材の在留者数は、在留資格「介護」が5339人、技能実習生が1万5011人(ともに2022年6月時点)、EPA介護福祉士・候補者が3257人、特定技能が1万7066人(ともに2023年1月時点)となっている。日本に滞在できる期間は概ね4~5年ですが、技能実習生の場合は試験結果や受入れ団体が備える要件によって2~5年の間で変動します。

同戦略では、今後は官民の関係者・機関と共に包括的・戦略的な対応の方向性を検討するとともに、経済発展や地域・対象層等に応じたアジア諸国への募集アプローチを検討し、日本に人材を送り出すルートを確立していくとしています。

加えて、現地の教育機関等との関係構築・連携強化や、現地説明会による採用・広報活動、海外展開に積極的に取り組む介護事業者の支援なども行います。他に、JICA(国際協力機構)が実施する介護人材能力強化プロジェクト等に厚労省から専門家を派遣し、介護プログラム・教材の作成や教員育成を支援することも盛り込まれました。

来日した外国人の定着支援については、受入れ事業者による就労・生活環境整備を支援するとともに、キャリアアップ支援や帰国後のキャリアの見える化により、日本での就労インセンティブ向上につなげるとしています。そのようにして、外国人介護人材の質と量の確保両面から取り組みを強化するという方針です。


(『EN-ICHI FORUM』2024年11月号記事に加筆修正して掲載)

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