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【情報ファイル】教員の働き方改革と人材確保に向けた施策
働き方改革が目指すもの
教員の働き方改革が目指すものについて、中央教育審議会(以下、中教審)は次のように述べています。
「長時間勤務の是正を図ることで教師の健康を守ることはもとより、日々の生活の質や教職人生を豊かにするなど教師のウェルビーイングを確保するとともに、自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対してより良い教育を行うことができるようにすること」
(中教審『教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策』2023年)。
さらに教師の資質能力の向上により質の高い教職員集団を実現していくとしています。
2024年4月に公表された文部科学省の「教員勤務実態調査」(2022年度、確定値)によると、1日当たりの在校時間は、平日は小学校教員が10時間45分など、6年前(2016年度)から減少しました。ただ、1週間あたりの時間外勤務の上限指針(月45時間)を超えているのは、小学校64.5%、中学校は77.0%で、長時間勤務の傾向が続いています。
業務の適正化
現在の取り組みで重視されているのが、一つは教員が担う業務の適正化です。中教審が2019年の答申で、以下のような「学校・教師が担う業務に係る3分類」を提示しました。

出所:筆者作成
①基本的には学校以外が担うべき業務
「登下校に関する対応」「放課後から夜間などにおける見回り、児童生徒が補導された時の対応」「学校徴収金の徴収・管理」「地域ボランティアとの連絡調整」
②学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務
「調査・統計等への回答等」「児童生徒の休み時間における対応」「校内清掃」「部活動」
③教師の業務だが、負担軽減が可能な業務
「給食時の対応」「授業準備」「学習評価や成績処理」「学校行事の準備・運営」「進路指導」「支援が必要な児童生徒・家庭への対応」
このうち、過去1年間で最も改善されたのは、「登下校に関する対応」、「学校徴収金の徴収・管理」、「授業準備」です(文科省『令和5年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査』。2023年12月公表、調査は2023年10月時点)。
また調査報告書では、3分類を踏まえた地方の取り組みの事例が紹介されています。
- 登校時刻を見直し、教師の出勤にゆとりを持たせる(岡山県和気町)。
- 学校徴収金を公会計化し、学校で徴収・督促の事務を行わない(岐阜県下呂市)。
- 学校運営協議会の仕組みを活用し、個人や地域の企業等がスクールサポーター(学校応援団)として登録して出前授業や企業訪問など実施(北海道訓子府町)。
- 県教育長の最終判断で学校の文書事務負担を半分程度削減(山梨県)。
- 教委や各学校で作成した授業指導案や教材についてICTを活用して共有フォルダに蓄積し、教材研究の時間短縮と授業の質向上に取り組む(大阪府枚方市)
待遇の改善
教員の待遇改善に関しては、中教審の特別部会で議論が行われていますが、残業代を支払わない代わりに給与分4%の調整額を一律で上乗せする現在の給特法については枠組みを維持すべきという意見が多いといいます。各教員の残業時間を管理職が判断することが現実的に難しいことと、高度専門職である教員に時間外勤務手当という形を当てはめることは合わないといった指摘もあり、調整額を10%以上に引き上げる案が提言されています。
採用試験の実施についての工夫
さらに、「質の高い教師」の確保も大きな課題です。そのためにも教職の魅力発信や研修への支援、奨学金の返還支援などの意見があります。
文科省は人材確保のため、毎年7月頃に行われていた採用試験の実施時期を早めるよう各自治体に要請しており、2024年からは標準日の6月16日より前に実施時期を早めたり、年に2回の試験を行う自治体も出てきています。2025年は標準日をさらに早め、5月11日にしました。
(『EN-ICHI FORUM』2024年5月号記事に加筆修正して掲載)
