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教師と保護者、保護者同士の信頼関係を築く懇談会
学校の先生にとって大きな関心の一つはやはり保護者との関係性ではないでしょうか。今回は、小学校勤務13年の剣持敬之先生(仮名)に、保護者の方々と良い関係を築くために効果的な懇談会の持ち方をお聞きしました。
保護者懇談会に期待できること
—今日は保護者懇談会について伺いたいと思います。まず先生ご自身、懇談会をどのように捉えていらっしゃいますか。
そうですね。やはり懇談会で教員が保護者の方々と信頼関係を築くことはとても大事です。ここでは、それに加えて保護者同士のつながりをしっかり作っていくことの大切さを強調したいと思います。保護者同士につながりが生まれると良いことがたくさんあるのです。
—具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
例えば、児童同士でトラブルがあった時に、親同士につながりがあるとまったく知らないよりも円滑に解決できると感じています。また、宿題やお手紙の内容についての些細な疑問も保護者同士で解決してくださることが増え、学校への問い合わせが減ります。コロナ禍以降は保護者同士のつながりも薄くなっている気がしますので、懇談会はよい機会だと思います。私にも小学生の子供が三人いますが、やはり他の保護者との交流や情報交換はかなり役立っています。

出所:筆者作成
懇談会の組み立て方
—では、実際にどのような懇談会を開いてこられたのか、順序を教えてください。
直近で行った年度初めの懇談会のことをご紹介しようと思います。懇談会の当日は、子供たちも使っているロイロノートというアプリで式次第をまとめ、進行に使いました。まず目次を提示し、最初に自己紹介をしました。私が教員になってからの年数や、前任校で1年生から6年生まで全学年を担当した経験、さらには今勤務している市町村が出身地であることを紹介しました。同じ小中学校の卒業生という保護者もいて、親近感を持っていただけました。好きな教科や家族の様子、趣味なども紹介しました。
懇談会の式次第
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出所:剣持氏提供資料を一部改変
—授業との関係付けも意識されていたのですか。
はい。ちょうど授業参観の後だったので、その授業の意図を口頭で説明しました。さらに、4月の懇談会だったということもあり、保護者の皆さんにも自己紹介をお願いしました。お名前とご自身の小学生時代に好きだった教科のほか、「我が子の推しポイント」も話していただきました。皆さん、恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに語ってくださいました。
—保護者向けの資料や学級経営方針についてはどう伝えましたか。
よく、紙に印刷された懇談会の資料を淡々と音読するだけの懇談会が見られますが、「懇談会」ですので、懇談する時間を確保するために、資料の内容はポイントのみを短く確認しました。学級経営の方向性についてもお話しし、学級目標も共有しました。以前は子供たちと一緒に目標を決めたこともありますが、この時は教師として「こうしたい」という思いを込めて決めました。そのほか、宿題の出し方についても触れ、最後に「クラスの子供たちを自分の子供のように大切に接していきます」と伝えました。
保護者同士の交流会
—懇談会の中で保護者同士の交流をどのように工夫されたのでしょうか。
私からの話の後には、保護者同士で交流していただく時間を設けました。この時は「次の日の準備や宿題の見届けをどうしていますか」というテーマで話し合っていただきました。2年生の担任だったので、お子さんが一人目という方もいて参考になったと思います。学年が高い場合は、ゲームやスマホのルールなどをテーマにすることもあります。
—座席の工夫などもされたと伺いました。
はい。できるだけ住んでいる地域が近い方同士で座っていただきました。近所だと子供が一緒に遊ぶことも多く、共通の話題が作りやすいからです。4人ぐらいのグループで交流・情報交換を行っていただき、私はグループを回って一緒に聞いたり話したりしました。良い内容はメモをして、後で全体に共有しました。グループごとに発表をお願いすると負担になるので、こちらから伝える形がよかったと思います。まだ教師としての経験が浅く、子育ての経験もない頃には、「子育ての参考にさせてください」と言いながら保護者の話の輪に入っていきました。

※写真はイメージです
懇談会に込めるおもい
—こうした懇談会を実施してみて、どのような手ごたえがありましたか。
テーマ別にお話する中で保護者同士が交流でき、とてもよい時間になったと思います。年度初めの懇談会で交流することが、保護者との信頼関係を築く最初の一歩になっていると感じています。
—最後に、保護者の方に伝えたいとお考えのことは何でしょうか。
子供たちはいろいろな友達と関わることで人間性が豊かになります。そして我が子の幸せを願わない親はいません。それは他の家庭でも同じです。トラブルがあったときには自分の子を信じるのは当然ですが、相手の子にも同じように幸せを願う親がいることを念頭に、一年を一緒に過ごしていただきたいとお願いしました。
—お話ありがとうございました。
