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【情報ファイル】地方自治体の結婚支援の取り組み

EN-ICHI編集部

2025年6月11日

少子化の最大の要因は若者の未婚化にあると指摘されています。各地の自治体では若者の結婚を支援する取り組みが行われています。

自治体の取り組み事例

地方自治体の施策を支援するのは、政府の「地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)」です。自治体による「結婚に対する取組」や「結婚、妊娠・出産、子育てに温かい社会づくり・機運の醸成の取組」、「結婚新生活支援事業」(新婚世帯を対象に家賃や引越費用等を補助)に用いられます。

このうち、結婚支援の事業には、「オンラインによる結婚相談・伴走型支援」「結婚支援ボランティア等の人材育成」「AIなどマッチングシステムの高度化」「若い世代向けのライフデザインセミナー」などがあります。

出所:筆者作成

こども家庭庁のウェブサイトには、令和5年度の取り組みとして、以下のような自治体の事例が紹介されています(こども家庭庁『地域少子化対策重点推進交付金 令和5年度事例集』)。

ボランティア養成やマッチングシステムの導入例として、石川県では縁結びボランティアを養成し、お見合い相手の紹介や出会いの場の提供、フォローを行っています。さらにAIマッチングシステムを新規導入し、ボランティアがサポートをします。

大分県では、お見合いサービスや婚活セミナーを実施する出会いサポートセンターを設置しました。AIを活用したマッチングシステムも導入しています。

若い世代向けの総合的なライフデザインセミナーの例としては、群馬県で大学生等が企画段階から参画し、冊子を作成して若者に発信しています。大学生と高校生が共に学ぶライフデザイン講座を実施したり、地域が連携して若者の人生設計を支援する体制づくりを行っています。

京都府では、府の企業で働く子育て家庭を訪問して学ぶプログラムを実施しています。学生や若手職員らにオリジナル教材を用いてライフデザインを考えるワークショップを開催しています。

また、地域全体で結婚を支援する仕組みとして、新潟市では企業や団体が結婚支援ネットワークを形成しています。結婚予定のカップルなどが企業のサービスを受けられるパスポートを発行しています。企業や地域、行政から結婚を応援されているイメージを持ってもらうといいます。

自治体の取り組み事例

事業を行う自治体では、結婚支援ボランティアの育成とネットワーク化、さらに自治体間連携などもテーマになっています。秋田県や島根県では地域を超えた交流等を通して、地域一体で結婚支援に取り組むとしています。長崎県ではお見合いシステム窓口の設置や婚活サポーターの掘り起こし・育成など自治体間の連携を強化しています。三重県では県と複数市町の連携により、広域的な出会いの場を創出するとしています。

これまでの少子化対策で実際に現れた効果を各自治体に聞くと、最も多い「子育てしやすいと思う住民の割合の上昇」(都道府県13(27.7%)、市区町村363(25.0%))に比べて、「婚姻数の増加」は都道府県1(2.1%)、市区町村56(3.9%)でした(内閣府『令和3年度 地方自治体における少子化対策の取組状況に関する調査』)。

効果が現れるまでに時間がかかる事業とも言えますが、今後の取り組みが注目されます。


(『EN-ICHI FORUM』2023年11月号記事に加筆修正して掲載)

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