家庭と地域の未来を拓く

【情報ファイル】博士後期課程学生への支援を3倍化、数を世界トップ水準に

EN-ICHI編集部

2024年5月31日

文部科学省は2024年3月、博士の数で世界トップ水準をめざす「博士人材活躍プラン~博士をとろう」をとりまとめました。

博士人材支援を打ち出した理由は、一つに日本は人口当たりの博士号取得者数が他の先進国と比べて少ないこと。もう一つは、博士人材が社会の多様な場での活躍が進まず、日本の停滞を生んでいるという強い危機感があることです。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の「科学技術指標2023」によると、2021年度の人口100万人当たりの博士号取得者数は、日本は123人です。これは英国(340人)、ドイツ(338人)、韓国(317人)の半分以下です。主要国のなかでも2000年以降、日本は人口100万人当たりの博士号取得者が減少傾向にあります。

出所:文部科学省『博士人材活躍プラン』(元データは科学技術・学術清策研究所『科学技術指標2023』)を元に筆者作成

とりわけ、修士課程から直接博士課程に進学する学生は1万4280人(2003年度)から、8777人(2024年度)に4割も減っています。

NISTEPの「修士課程在籍者を起点とした追跡調査(2023年)」によると、修士学生が博士課程ではなく就職を選択した理由として、「経済的に自立したい」、「社会に出て仕事をしたい」の次に、「博士課程に進学すると生活の経済的見通しが立たない」、「博士課程に進学すると修了後の就職が心配である」を挙げています。

この現状を変えていこうと「博士人材活躍プラン」では、次の三つの指標を掲げて具体的数値目標を示しました。

一つは世界トップ水準の大学院教育を行う拠点形成など、大学院教育を充実させること。二つ目は給付型奨学金や生活費支給など博士後期課程学生への支援を2018年度比の3倍に増強すること。三つ目はジョブ型研究インターンシップを推進することでキャリア形成を支援することです。

数値目標として、学士号取得者に対する博士号取得者の割合を2.7%(2020年)から、5%(2030年)、8%(2040年)に増やしていくことが掲げられています。博士後期課程学生の就職率については70%(2023年)から、75%、80%を目指すとしました。

最終的に2040年に人口当たりの博士号取得者数を世界トップ水準に引き上げるとしています。これは2020年度比の約3倍です。

こうした高い数値目標を達成するには、初等中等教育段階の取り組みが不可欠となります。科学への興味関心を引き出す教育環境や課題発見・解決能力等を育む探求学習の充実、理数系教育の推進など、早期の取り組みにより博士人材の増強を図っていきたい考えです。

(『EN-ICHI FORUM』2024年5月号記事に加筆修正して掲載)

教育・人材 政策情報・リサーチ