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【情報ファイル】不登校児童生徒数 約30万人に、90日以上欠席が半数
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等調査」より
文科省が2023年10月に公表した「2022年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導の諸問題に関する調査」によると、年度間に30日以上登校しなかった小・中学校の長期欠席者は46万648人と過去最多となりました。うち不登校による長期欠席者は前年度比22.1%増の29万9048人となり、10年連続で増加しました。「新型コロナウイルスの感染回避」を理由とする長期欠席は前年度の半分以下に減りましたが、「病気」を理由とする長期欠席は増えました。
在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は3.2%(前年度2.6%)と過去最多でした。過去5年間で小学校は0.7%から1.7%、中学校は3.7%から6.0%に増加しました。また90日以上の欠席者は不登校児童生徒全体の55.4%に当たる16万5669人となりました。

出所:文部科学省『令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査結果の概要』を元に筆者作成
不登校の要因について、「無気力、不安」が51.8%、「生活リズムの乱れ、遊び、非行」が11.4%で、本人に係る要因が最も多かったです。
ただ、文科省の「2020年度不登校児童生徒の実態調査」では、「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」(複数回答)を問うと、小学生の30%、中学生の28%が「先生のこと」、小学生25%、中学生26%が「友達のこと」と回答しています。不登校の増加の要因として、コロナ禍の影響による登校意欲の低下が挙げられていますが、本人、学校、家庭に係る要因が複雑に絡まっていると考えられます。
また小・中・高等学校等のいじめ認知件数は、前年度より6万6597件(10.8%)増の68万1948件。いじめの重大事態件数も前年度より217件(30.7%)増の923件で、それぞれ過去最多となりました。
小・中・高等学校等の暴力行為発生件数も前年度より25%増の9万5426件で、2015年度の約3.6倍に増加しました。文科省はいじめや暴力行為が増えたことについて、部活動や学校行事など様々な活動が再開し接触機会が増えた事などが増加につながったとしています。
暴力行為発生件数(児童生徒千人当たり)を都道府県別にみると、最多の新潟県と最少の愛媛県では約45倍の開きがあります。いじめ認知件数(児童生徒千人当たり)も、最多の山形県と最少の愛媛県では約8倍の開きがあります。問題行動の把握において自治体間での認識の違いが依然として大きいです。
(『EN-ICHI FORUM』2023年11月号記事に加筆修正して掲載)
