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【情報ファイル】「頼れる人」最多は「家族・親族」
内閣府「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)」より
現代日本では、人口減少にともなって公的福祉の縮小が予想されることから、地域の人間関係における相互の助け合いの再建に注目が集まっています。本稿では、最新の調査結果から人々の助け合いに関する意識の状況を報告します。
2025(令和7)年4月、内閣府孤独・孤立対策推進室は「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)」の調査結果を公表しました。調査では、人々の孤独感や孤立の状況と同時に、困った時に頼れる人や不安・悩みの相談相手の有無も訪ねています。
調査結果において、困った時に頼れる人の有無を尋ねた質問に、頼れる人が「いる」と回答した人の割合は全体で92.2%、「いない」と回答した人は7.5%でした。頼れる人が「いる」と回答した人にその種類を尋ねたところ、96.2%の人が「家族・親族」を選択し、友人・知人と回答した人は55.5%でした(複数回答可)。また、「仕事・学校関係者(職場の同僚・学校の先生等)」が22.0%と続いており、日常的に接する機会の多い人を「頼れる」と認識する人が多くなっています。
【表1】男女、年齢階級別困った時に頼れる人の種類【複数回答】

出所:内閣府孤独・孤立対策推進室「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)」より【図1-42】を転載
一方で、「頼れる」と回答した人の割合が低いのは、公的福祉やある程度制度化された支援の担い手です。「行政機関(国や自治体)」を「頼れる」と回答した人は5.5%、「社会福祉協議会」は2.6%、「NPO等の民間団体・ボランティア団体」はわずかに1.0%の人が「頼れる」と回答しています。
加えて、これらを補完することを期待されている地域コミュニティの割合も高くありません。「自治会・町内会・近所の人」を「頼れる」と回答した人は9.6%となっています。行政・社会福祉法人・NPO等と比較すれば高い割合ですが、年齢別の内訳をみると、10代~50代において最も割合が高い50代女性でも6.0%となっており、「行政機関」と同程度の水準となっています。70代、80代では「頼れる」と回答している人の割合が上昇していることから、現役世代と高齢層のライフスタイルの違いが反映されている可能性もあります。
不安や悩みの相談相手を尋ねた質問への回答も同様の傾向を示しており、「家族・親族」「友人・知人」等、身近な人間関係がサポートの源として認識されていることが推察されます。
孤独感が強い層の傾向
不安や悩みを相談することへの感情を尋ねる質問への回答では、孤独感の強さが相談することの捉え方に大きく影響していることが示されています。孤独感が「決してない」(全体の18.4%)および「ほとんどない」(40.6%)を選択した人では、「相談することで解決できる、または解決の手掛かりが得られる」「相談することで解決しなくとも気持ちが楽になる」と回答した人の割合が高くなっていました(複数選択可)。特に、孤独感が軽微な人では70%以上の人が「相談することで解決しなくとも気持ちが楽になる」を選択していました。
一方、孤独感が強い人では「相談すると相手の負担になる」「相談しても無駄である(相談しても解決しない)」を選択する割合が高くなっています。特に、孤独感が最も高い「しばしばある・常にある」(4.3%)を選択した人では、相談が「相手の負担になる」が25.5%、「無駄である」が40.8%と群を抜いて高くなっていました。
e-Statで公表されているより詳細な集計(「孤独感に関する集計」表1-23)から、「家族・友人」等からの手助けを受けている人の割合を計算すると、全体で約40.5%の人が手助けを受けていました。孤独感別にみると、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人のうち、「家族・友人等」から手助けを受けている人は約27.2%(128/471)となっています。
【表2】孤独感別「家族・友人等」から「手助けを受けている」と回答した人の割合

(上段:件数/下段:%)
(注1):割合は小数第2位を四捨五入している。
(注2):不安や悩みを感じていることが「ない」と回答した人を含まないため、「手助けを受けている」と「手助けを受けていない」の合計が全体と一致しない)
出所:内閣府孤独・孤立対策推進室『人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)』「孤独感に関する統計」表1-23より筆者作成
また、孤独感が 「時々ある」では約44.8%(752/1,678)、「たまにある」で約45.6%(970/2,129)、「ほとんどない」で約39.3%(1,734/4,412)、「決してない」で約38.2%(765/2,004)となっており、「しばしばある・常にある」と回答した人における手助けを受けている割合が低くなっていることがわかります。
さらに、不安や悩みに対する家族・友人等からの「手助けを受けていない」人では、「受けている」人と比べて、 行政機関・NPO等からの支援も「受けていない」人の割合が高くなっています。
このように、現代では困りごとがあるときに「頼れる人」として「家族・親族」や「友人・知人」など、身近な人間関係をあげる人が多く、その重要性がうかがえます。一方で、 自治会等の地域コミュニティや行政機関等やNPOの存在感は大きくありません。また、孤独感が最も高い層は、身近な人々からの手助けを受けている割合が最も低いうえに、行政機関やNPOからの支援も受けない傾向にあります。こうした層へのアプローチを考えていく必要があります。
