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【海外子育てコラム_韓国 vol.5】韓国で愛される子供たち

EN-ICHI編集部

2026年3月10日

「子どもがいるだけで、地域が温かくなる」韓国南西部・海南で5人の子を育てるさとこさんは、そう感じながら日々を過ごしています。韓国社会には、“情(ジョン)”と呼ばれる人と人との深い情愛が息づき、子どもを社会全体で育てる文化が根づいています。今回は、子どもに寛容な韓国の社会、愛情あふれる親子関係、そして多文化社会での子育てから見えてきた価値観の変化を語ってもらいました。

韓国での子育てにおいて、日本と比べて子育てしやすいと感じる点は何ですか?

一番は、子供や子育てに対して非常に寛容な文化です。寛容どころではない、「寛容の代名詞」くらいの勢いだと思っています。日本だと、公共の場では子供に静かにさせようとしますが、韓国では「子供がじっとしていたら病気だ」と周りの人が言ってくれます。

バスや電車、食堂など、どこに行っても周囲の人が助けてくれます。食堂で走り回っても、他のお客さんが「いいよ」と言ってくれれば問題になりません。妊娠中に一人で子供を食堂に連れて行った際、長女がぐずって食事ができなかったのですが、後ろにいたお客さんが子供を抱っこしてくれ、その間に食事ができたこともありました。飛行機に乗った際も、見知らぬ人がずっと遊んでくれたり抱っこしてくれたりしました。これは、韓国の「情(ジョン)」の文化と、少子化で子供が貴重な存在であるという実情によるものだと感じています。

―地域の方との関係はどのような感じでしょうか?

ソウルへ出て行った孫に会えないおじいちゃん、おばあちゃんが多くいるため、他人の子供でも自分の孫のように可愛がってくれます。地域全体で面倒を見る文化があり、「うちの孫はこれぐらいや」と言って抱いてくれたりします。

例えば、村の旅行(バスを貸し切って遠出する)があるときも、こちらが「子供が行ったら迷惑だ」と伝えても、村の人から「連れてこい、参加しないと!」と強く勧められました。みなさんが、子供の面倒を見てくれました。非常にありがたかったです。

海辺の公園にて(さとこさん提供)

―子育てをしていて日本との違いを感じた点はありますか?

はい、韓国はスキンシップが多く、愛情表現が豊かだと感じます。例えば、子供を学校の建物まで送っていくと、「ハイ、ポッポ(キス)」をして見送ります。夫も子供たちに「サランヘ(愛してる)」と言って見送ります。子供たち同士も手をつないで行列になって歩いています。

保育園の車から降りてくる瞬間に「息子よ~!娘よ~!」と駆け寄るお母さんもたくさんいて、愛情表現が非常に豊かです。

―他に、何か驚いた文化や風習はありますか?

韓国の地方では「子供放置」が非常に多いことに驚きました。その辺に子供たちを放置して勝手に遊ばせておくんですよね。これは地域差があると思いますが、今のお年寄り世代が自給自足の生活で忙しく、子供を放置しても安全だった時代の子育てに起因しているみたいです。

昔は車も少なく、あまりリスクが高くなかったのかもしれないですが、今は車の通りもそれなりにあるので、とても安全とは思えません。それにもかかわらず、周りの韓国の家庭は子供を放置したり、私の家に子供を預けるのが当然だと思っている節があります。私が自分の子供を見守っているのを見て、「じゃあうちの子もここで遊ばせておこう」という感覚で、何も言わずに子供を置いて行ってしまうのです。この文化には最も驚きました。

―海外で子育てをすることで、ご自身の価値観はどのように変わりましたか?

日本では「絶対に迷惑をかけてはいけない」という考えが根強いですが、韓国の「情」の文化と、地域全体で子供を可愛がってくれる環境のおかげで、価値観が大きく変わりました。

地域での人間関係が希薄になっている日本と違い、韓国では地域の人とかかわる機会も多く、「持ちつ持たれつ」の関係性があると思います。私自身も子供が多くて大変ですが、初めて子育てをする人が困っているのを見ると、自然と「手伝いましょうか」と言えるようになりました。

また、日本人がこの地域に住んでいるだけで、韓国の人が「ここは良い場所だ」と誇りに思ってくれるなど、地域の一員として受け入れられていることも幸運だと感じています。

海で遊ぶ子供たち(さとこさん提供)

【海外子育てコラム_韓国】
vol.1 5回にわたる韓国での出産
vol.2 しっかり休める韓国での産後
vol.3 地方ならではの子育て・教育事情
vol.4 少子化が進む韓国の実情
vol.5 韓国で愛される子供たち

家庭 ダイアローグ・コラム