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【海外子育てコラム_韓国 vol.2】しっかり休める韓国での産後
韓国の南西部に位置する、のどかな田舎町、海南(ヘナム)で5人の子供たちを育てるさとこさん。韓国には、産後しっかり休むための施設があるそうです。韓国での産後の生活についてお伺いしました。
「産後は休むもの」― 韓国文化が生んだチョリウォン(産後調理院)
―韓国特有の産後ケア施設「チョリウォン(産後調理院)」について教えてください。
韓国では、産後は必ずきちんと休まなければならないという考えが強いことから、チョリウォンという施設が広まりました。これは、過去に産後すぐに畑仕事などをして体が悪くなったおばあさん世代の経験から生まれた風習だと聞きました。
チョリウォンは、お母さんと赤ちゃんが一緒に入所し、自分の身の回りの世話以外はすべて施設がやってくれる場所です。持っていくのは化粧品や洗面用具、下着くらいで、食事はすべて出ますし、洗濯もすべてしてくれます。食事は豪華で美味しく、一日三食プラス間食(かぼちゃ粥、黒ごま粥、あずき粥など)が3回も出ます。育児講座やヨガ、有料のマッサージなどのプログラムもあります。
―チョリウォンの利用費用はどのくらいかかりますか?
チョリウォンの費用は、通常2週間で数十万円です。大体60万円くらいのところが多いですが、私が住む海南には、全羅南道が建てたチョリウォンがあり、全羅南道に住んでいる人は割引対象となっていて、希望する人はみんな入れます。費用は40万円くらいで安い方です。外国人の場合、さらに割引が適用され、私は1人目の時から自費は4万円くらいで利用できました。それ以外の費用は全羅南道がすべて負担してくれました。
産後の入院期間は病院によって異なりますが、自然分娩の場合は3日から5日程度で退院し、その後チョリウォンに移動します。チョリウォンは1週間か2週間を選べ、最長3週間まで滞在可能ですが、人気があるため3週間滞在できる人は少ないようです。私は2週間お世話になりました。

チョリオンの食事(さとこさん提供)
国と自治体が支える産後ケア ― 訪問ヘルパー「トウミ」
―産後のサポートとして、公的な制度である「トウミ(訪問ヘルパー)」についても教えてください。
韓国では、産後に「トウミ」と呼ばれるベビーシッター的な訪問ヘルパーを呼ぶことができます。彼女たちは赤ちゃんの扱いに慣れた方で、専門的な教育を受けています。
収入によって費用は異なりますが、国際家庭向けの「多文化センター」が提供するトウミ支援は完全に無料で利用できます。これは国が運営しているようです。
トウミは通常、朝9時から夕方5時まで来てくれ、赤ちゃんの世話、掃除、洗濯、家事全般を行い、お母さんが休めるようにサポートしてくれます。私は1カ月(土日を除く19日間ほど)ほど利用できました。チョリウォン利用後にトウミを利用するなど、制度をうまく組み合わせれば、産後100日くらいは体を休めることが可能です。
―出産支援金や育児関連の経済的支援もあるのでしょうか?
出産支援金は、全羅南道、韓国政府、そして海南市からそれぞれ支給される制度があります。
ただ、外国人妻の名前で出産一時金や出産関連のお金を受け取ることはできません。これは、一部の外国人妻が出産金を受け取った後、子供を連れて、または置いて逃亡してしまうケースがあるためです。実際に、お金を持って逃げるためのコミュニティが存在するという深刻な実情があります。そのため、私の場合も、全て旦那名義の口座に振り込まれています。
地域の支えと夫の変化
―家族や親戚からの育児サポートは期待できましたか?また、地域社会でどうやって助けを求めましたか?
夫は7人兄弟ですが、隣に住む義姉は体調が悪く、他の親族は遠方に住んでいるか仕事で忙しいかで、なかなか頼ることはできませんでした。
しかし、チョリウォン利用中など、困った時は知り合いが上の子どもたちを預かってくれたため助かりました。また、夫が町内会長をしていることも、地域社会の協力において有利に働きました。韓国では町内会長が信頼され尊敬される傾向があるため、どうしようもない時の緊急の子供の預かりなどは、地域の方々に「お願いしたらなんとかなる」という状況で、とても助かりました。
―ご夫婦での育児や家事の分担はどのような感じでしょうか?
夫は基本的に仕事中心で、家事に関しては「見えてない」タイプで、洗濯物や洗い物が溜まっていても気づかないようです(笑)。以前は進んで家事や育児をすることはあまりありませんでした。しかし、5人目の自宅出産の際、私が本当に動けなかったときは、夫が初めてすべての家事や育児をやってくれました。5人目の出産を機に、夫も少し目覚めたと感じています。現在は忙しく働きながらも、子どもの登園サポートなどを担当してくれています。

海辺で遊ぶ子供たち(さとこさん提供)
【海外子育てコラム_韓国】
vol.1 5回にわたる韓国での出産
vol.2 しっかり休める韓国での産後
