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【情報ファイル】2100年に8000万人国家を目指す、少子化対策から人口戦略へ転換
人口戦略会議『人口ビジョン2100』より
2024年1月10日、民間の有識者らで構成する「人口戦略会議」(三村明夫議長)が提言「人口ビジョン2100ー安定的で、成長力のある『8000万人国家』へ」を公表しました。提言は、これから日本は「人口急降下」による縮小と停滞のスパイラルに陥るとして、2100年に「8000万人口定常化」を目指す国家戦略を示しています。

出所:国土交通省『「国土の長期展望」中間とりまとめ』を元に筆者作成
人口が急降下する日本社会は縮小と撤退を強いられ、選択の幅が極端に狭められます。同時に「超高齢化」が進むと、年代・世代間対立が深刻化し、「地方消滅」という事態が進みます。そうなると、広範な「社会心理的停滞」が起きてくると警鐘を鳴らしています。
本提言はまず人口減少が引き起こす“重大な事態”に対する「国民の意識の共有」を図ることが必要だとしています。その上で、若者、特に育児負担が集中している女性が未来に希望を持てるような取り組みが重要としています。
国立社会保障・人口問題研究所の2021年「出生動向基本調査」では、未婚女性の描くライフコースとして「子供を持たないで働く」が前回2015年の5.8%から、12.2%に急増しました。また子供も家庭も持たない「非婚就業コース」が33.3%で、最も高くなりました。
結婚や子供を持つことへの意欲低下の要因として、所得や雇用といった経済的要因が指摘されています。同調査によると、30~34歳男性の有配偶率は正規が59.0%と最も高く、非正規のパート・アルバイトは15.7%と、雇用形態による開きが大きいです。
また、中高卒・短大等卒女性の出生数は大卒女性を上回っているものの、出生数自体は低下し続けています。
本提言は、世代間の継承という視点から、母親一人が子育てを担うのではなく、父親、家族、地域が共同で子育てをする「『共同養育社会』づくり」を進めていく必要があるとしています。
これらの課題に取り組むことで、人口減少速度を緩和させ、人口定常化を図っていく「人口定常化戦略」を打ち出しています。同時に、多様性に富んだ成長力のある社会を構築する「強靭化戦略」を示しています。具体的には「人への投資」を強化することで生産性上昇率の引き上げを図るとしています。
本提言は子育て支援に偏った少子化対策から脱却し、持続可能な社会を目指す人口戦略へ、政策的転換を図る一歩となるでしょう。
(『EN-ICHI FORUM』2024年2月号記事に加筆修正して掲載)
