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【情報ファイル】2050年に単独世帯が44.3%、一人暮らし男性高齢者の6割が未婚

EN-ICHI編集部

2025年6月10日

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計」(2024年4月12日発表)によると、日本の総世帯数は2030年の5773万世帯をピークに、2050年には5261万世帯に減少します。推計は国勢調査に基づいて5年ごとに実施。今回は2020年~2050年までの30年間について家族類型別の世帯数を推計しています。これにより、人口減少が加速化し、単独世帯が急増する日本の将来の姿が明らかになりました。

世帯の単独化が進み、平均世帯人員は2020年の2.21人から、2033年に2人を割り込み、2050年には1.92人となります。

世帯数では、「単独」世帯が2020年の2115万世帯から、2036年は2453万世帯に増加し、その後2050年には2330万世帯となります。一方、「夫婦と子」は1401万世帯から1130万世帯に、「夫婦のみ」は1121万世帯から995万世帯に、「ひとり親と子」は503万世帯から485万世帯にそれぞれ減少します。

「単独」世帯の割合は2020年の38.0%から、2050年には44.3%と6.3ポイントも上昇します。一方、「ひとり親と子」は9.0%から9.2%に微増、「夫婦と子」は25.2%から、3.7ポイント減の21.5%に低下します。

2015年から2040年を推計した前回推計(2018年)は、「単独」を2030年に37.9%、2040年に39.3%と見込んでいました。想定以上に世帯の単独化が進んでいることが分かります。

高齢者の単独世帯が増える要因として、未婚率の上昇を挙げています。推計によると、65歳以上の高齢単独世帯に占める未婚者割合は男性33.7%(2020年)ですが、未婚率の上昇を反映し、59.7%(2050年)に、女性は11.94%から、30.2%に大きく上昇します。 

出所:国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(令和6(2024)年推計)を元に筆者作成

世帯主65歳以上の世帯数がピークとなる2045年頃は、南海トラフ大地震の予測時期と重なります。そのため、一人暮らし高齢者への緊急時の災害対応は一層重要となります。また高齢者の単独化が進めば、一人で亡くなる孤独死が増えていきます。死亡手続きや葬儀、遺品整理などの死後事務などを第三者が担っていかなければなりません。

結婚は個人の選択の自由とは言え、将来、配偶者や子供を持たない、近親者のいない未婚高齢者が急増すれば、年金、介護、医療等の社会保障制度の見直しは必須となります。

(『EN-ICHI FORUM』2024年5月号記事に加筆修正して掲載)

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