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【海外子育てコラム_フランス vol.1】ブルターニュで経験した4度の帝王切開と、理想と現実が交錯する医療現場

EN-ICHI編集部

2026年6月22日

フランス北西部のブルターニュ地方で4人のお子さんを育てているまりあさんに、フランスでの出産や子育て、教育についてお話を伺います。第1回は、4度の帝王切開を経験した出産のエピソードと、フランスの医療制度についてお聞きしました。

―まず、フランスでの出産について教えてください。

私はブルターニュ地方に移り住んで8年半になりますが、この地で4人の子供を出産しました。驚かれることも多いのですが、4人とも帝王切開でした。

―最初の出産はどのようなご経験だったのでしょうか。

1人目は逆子が直らないまま陣痛が始まってしまい、急遽帝王切開になりました。ところが、出産後に深刻な出血が止まらなくなってしまったのです。医師からは「このままでは子宮を摘出しなければならない」と言われ、本当に大きなショックを受けました。

―とても大変な状況だったのですね。

はい。最終的には、より高度な処置ができる隣町の大きな病院へ搬送されることになりました。1時間ほどかかりましたが、そこで適切な処置を受けることができ、無事に回復しました。フランスでの子育ては、まさに命がけの経験から始まったと言えるかもしれません。

※写真はイメージです

―フランスの出産・育児支援については、どのような印象をお持ちですか。

日本との大きな違いは、手厚いフォロー体制と合理的な仕組みだと思います。まず、公立の総合病院で出産する場合、入院費や出産費用の自己負担はほとんどありません。また、産後のサポートも非常に充実しています。

―具体的にはどのようなサポートがあるのでしょうか。

私が特に助けられたのは、「サージュ・ファム」と呼ばれる助産師の存在です。フランスでは、助産師が妊娠中の検診から産後の家庭訪問まで幅広く担当します。例えば4人目の子供が生まれた後、赤ちゃんの体重がなかなか増えない時期がありました。その時には担当の助産師が数日おきに自宅へ来てくれて、体重測定や授乳指導をしてくれました。

―産後も継続的に支援してくれるのですね。

そうですね。母親や赤ちゃんの状態に合わせて柔軟に対応してくれます。入院期間についても同様です。1人目の時は不安もあり1週間ほど入院しましたが、4人目の時は経過が良かったので、自分の希望で4日目に退院することができました。

―医療システムの面ではいかがでしょうか。

とても合理的だと感じています。個人の医療データがICチップ付きのカードに集約されていて、どの医療機関でも過去の病歴や検査結果をすぐに確認できます。 病院を変えても情報共有がスムーズなので、その点はとても便利ですね。

ブルターニュ地方の小さな町の中心広場(まりあさん提供)

―一方で、課題もあるのでしょうか。

はい。実は地方医療には深刻な問題があります。それが医師不足です。私が住んでいる町では、長年地域を支えてきた医師が定年退職などで次々といなくなり、一時期は町にドクターが一人もいない状態になりました。

―それは大変ですね。

新しいかかりつけ医を探そうとしても、「新規患者は受け付けていません」と断られることが少なくありません。子供が熱を出しても、診察予約が取れるのは3日後、4日後ということもあります。

―日本とはかなり違う状況ですね。

そうですね。そのため、ここでは「すぐ病院へ行く」という選択肢が必ずしも取れません。親には家庭での健康管理や、ある程度自然治癒を待つ判断力が求められます。日本にいた頃よりも、自分で様子を見る力が必要になったと感じています。

―ほかにも戸惑うことはありますか。

フランスの医療は、制度としては非常に手厚い一方で、現場では医療従事者や医療資源が不足しているという現実もあります。その意味では、「充実した制度」と「慢性的な人手不足」という、相反する課題を抱えながら運営されているのが実情だと思います。

海辺で遊ぶ子供たち(まりあさん提供)

【海外子育てコラム_フランス】
vol.1 ブルターニュで経験した4度の帝王切開と、理想と現実が交錯する医療現場

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