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政策提言

国連「人間の安全保障理事会」設立への提言

諸文明(諸宗教)に共通する価値に基づき人間の安全保障理念を深化させよ

2012.04.01

 潘基文・事務総長が二期目の任期を迎えた今、日本はこれから数年間を、人間の安全保障を柱とする国連改革の道筋をつける好機ととらえ、積極的な外交を展開するべきであろう。

提言要旨

はじめに

 国家による安全保障だけでは人々の安全が保障しきれない事実や、逆に国家が国民の安全を脅かす存在となる場合があることから、これを補完する概念として「人間の安全保障」が生まれた。
 人間の安全保障には、経済援助を背景に「欠乏からの自由」に力点を置く日本的なアプローチと、軍事面での人道的介入も視野に入れ「恐怖からの自由」を強調するカナダ的なアプローチがあると言われている。人間の安全保障を具現化するには両者を一つの理念の下で融合させる必要がある。
 世界的に宗教の復権が著しい現在、諸宗教に共通する価値に基づいて現在の人間の安全保障理念を深化させ、より総合的な理念として確立しなければならない。日本は、伝統的に得意とするバランス感覚を生かし、様々な違いを超越した人間の安全保障理念の確立とそれに基づく活動の推進、さらには国連に「人間の安全保障理事会」を設置するための国連改革を主導すべきである。

1.「人間の安全保障」の理念を深化させ、積極的な「価値の外交」を展開せよ

 グローバルな課題に取り組む際の指導理念として、現在人間の安全保障が注目されている。今必要とされているのは、理念そのものを政策の基礎となる明確な価値観として構築することである。これは「人間」の視点からの安全を保障する意味を、民族や宗教・人種を超えて合意し得る共通の価値に求めることである。
 それには文明の基底をなし、人々の価値形成に決定的な影響を与えるとともに、人権の根拠を提供してきた諸宗教の共通項を取り出し、人間の普遍性へと迫る必要がある。人類の歴史的・精神的な遺産を尊重することで、人間の安全保障理念はより普遍的で息の長いものとなる。その上で、深化させた人間の安全保障理念を軸に自由・民主主義などの「価値の外交」を展開し、米国をはじめ価値観を共有する国々との効果的な協力体制を構築していく必要がある。

2.「人間の安全保障」の公式的定義の検討を主導し、国連での「人間の安全保障宣言」採択をめざせ

 国連における「人間の安全保障の主流化」は着実に進んでいるものの、未だ人間の安全保障は公式的には定義されていない。日本が掲げる人間の安全保障は、諸外国から見て曖昧で、国家安全保障や「保護する責任」との関係性がわかりにくいとの指摘は容易に払拭されない。

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